IIJで学ぶ “命を守るシステムを持続させるために”
2023年07月18日 火曜日

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皆さんこんにちは。東京消防庁からIIJに委託研修という形で派遣された目山と申します。つい昨年度までは消防隊員として災害現場の最前線にいました。
突然ですが皆さんは119番通報をしたことはありますか?
システム構成的にはコールセンターのように感じるかもしれませんが似て非なるもので、実は絶対に止まる事が許されないシステムなんです。
言い換えると「人の命を預かるシステム」
これを持続させるための知識を習得することこそがIIJで学ぶ必要性です。その内容の一部について、皆様に紹介出来たらと思います。
IIJと東京消防庁
一見すると全く接点がなさそうな両者ですが、IIJの社員として働いていると意外にも多くの共通点があると気付かされます。
例として挙げると、
- 立場は違えど両者とも24時間体制で災害対応(障害対応)を行う
- 指揮命令系統が明確になっており、危機管理におけるフローが確立されている
- 自らの職務(職責)を自覚し、より良い社会のために一人一人が邁進していること(!)
- マスコットキャラクターのモチーフが被っていること(!?)
IIJで学ぶ必要性
ではなぜ消防職員である私がIIJで働き、学ぶ必要があるのでしょうか?
こちらは令和4年2月に公正取引委員会から公表された「官公庁における情報システム調達に関する実態調査報告書」
の一部抜粋です。
(参考)公正取引員会「(令和4年2月8日)官公庁における情報システム調達に関する実態調査について」概要P.8
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/feb/220208_system/220208_summary.pdf
このページには多くの官公庁が頭を悩ませるワードが詰まっています。
「ベンダーロックイン」→既存システムに独自仕様があり、現行ベンダー以外の選択肢が無いこと、または他社の入札の望みがないこと
「RFI」→情報提供依頼書、入札が見込まれる事業者に対して仕様等の情報提供依頼を実施すること
「(前略)仕様書作成能力を高めるため,専門人材の採用を進める」→そもそも仕様書を作成するための人材が必要
さらにこれらはお互いに作用しており、あくまで上流工程の話にはなってしまいますが、
①ベンダーロックインを打開するためにはRFIなどを実施し、次期構成の要件をある程度絞る必要があり
②RFIを実施するには現行システムの仕様を網羅的に理解し、既存システムありきではなく、業務に対してどんな要件が必要なのか事業者に提示する人材が必要であり
③これらをクリア(もっと様々な要因が絡みますが)しないとベンダーロックインが継続される可能性が高まる
と、どれを落としてもスパイラルに陥ってしまいます。
特にベンダーロックインは(競争が働きづらいため)費用が高額になる事が多く、原資が税金である官公庁では喫緊の課題となっています。
コンサルと設計支援委託契約を締結する手段もありますが、官公庁は文書規程など独自の文化があることが多く、受託した事業者がその官公庁に馴染む時間を要することが多いのが実情ではないでしょうか。(プロジェクト初期の工数の多くが企業風土理解に割かれてしまう)
委託するしない、どちらにせよ官公庁の各部署をまたがっているシステムを理解し、事業者に対して「翻訳」する人材が必要とされているのです。
そしてこれは当庁においても例外ではありません。
当庁にはシステムに精通した人材が数多くいますが、人事異動や昇任など、常にプレイヤーであるわけではありません。
私は冒頭にも記した人の命を預かるシステムや、社内システムなどを担える人材になることを期待され、IIJに送り出されました。
※参考程度に公正取引員会の同資料の人材に関するアンケート結果です。
どの官公庁でも情報システムに精通した人材が不足していることが調査結果に表れています。
(参考)公正取引員会「(令和4年2月8日)官公庁における情報システム調達に関する実態調査について」概要P.13
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/feb/220208_system/220208_summary.pdf
IIJで何が学べ、どう活かせるのか
私は現在プロフェッショナルサービス第一本部に所属しています。
所属している部署では主にデジタルワークプレイス系システムを利用する顧客に対してのプロジェクト提案、導入および運用 ・ サポート業務を担当しており、
サブプロジェクトマネージャーやネットワーク構築SEとして業務に従事しています。
IIJの皆様に比べると専門的な知識が少ない状態でのスタートだったので、必死に食らいつくような毎日を過ごしていたら第一四半期が終わっていました。
あっという間でしたが、その中でこれは帰った後に使うことができるぞ!と感じているものは
- IIJサービスを通してWANやLANはもとより、担当した案件に応じた分野の知識が高まる
- 発注者としてだけではなく「受注者の事情」が見えてくる
- (サブ)プロジェクトマネージャーとして数多くの案件を実践できる
- リモートワークなど企業風土が全く違う働き方を経験できる
- 国内最大手ISPであるIIJのDR(Disaster Recovery)やインターネットバックボーンに対する考え方を吸収できる…etc
まだまだ枚挙にいとまがありませんが、これら多くの学びを得ることができます。
特に数多くの案件を実践できるという点は官公庁の職員からすると魅力的なのではないでしょうか。
通常官公庁のシステム更新は予算や年度という概念、クライアント数も多いため、年1件や場合によると数年で1件という事が多々あります。
しかしプロジェクト毎にアサインされる人は異なっており、それぞれのプロジェクトでああすれば良かった、こうすれば良かったと反省が生まれます。
この反省を数多く経験できるのはIIJで学ぶからこその経験で、受注者の事情が見えるようになる点と併せて、「発注者側のプロジェクトマネジメント」の質を高めることができると感じています。
今後の抱負
まだまだIIJで学べることはたくさんあります。
そしてそれらの究極の成果物は「皆様の生命・身体・財産を守るシステム」をより強靭に、そして持続させる事だと考えています。
ポンプ隊や救助隊のように直接助けることはできなくとも、消防隊や救急隊を一秒でも速く、確実に呼ぶことのできるシステムはより多くの命を救うことができると信じています。
IIJの皆様、これからもよろしくお願いします!