iPhone「衛星経由の緊急SOS」をIIJmio(MVNO)で試してみました【速報】

本日(7/30)、iPhoneの新しいiOS 17.6が配信されました。今回のバージョンアップでは、携帯電話が通じないところでも人工衛星経由でSOS(緊急機関への通報)ができる機能が日本でも有効になりました。

• iPhone で衛星経由の緊急 SOS を使う – Apple サポート (日本)

この機能がIIJmioのようなMVNOでも使えるかどうか、IIJmioのテクニカルサポートチームの協力を得て、早速試してみました。

 お断り

• iPhoneの「緊急SOSのデモ」を使用しています。実際に緊急通報を行ったわけではありません。
• デモモードと実際の緊急通報の挙動の違いまでは確認できていません。あくまでデモを試してみた結果としてご覧ください。
• IIJとして「衛星経由の緊急SOS」が利用できることを保証するものではありません。

デモモードの結果

• IIJmio モバイル タイプD (docomoMVNO・音声通話SIM) …… 動作しました
• IIJmio データ通信専用eSIM (IIJフルMVNO・データ通信専用) …… 動作しました

※IIJmio モバイル タイプA は時間の都合で実験できませんでした

「衛星経由の緊急SOS」について

iOS 17.6に更新したiPhone 14・iPhone 15で利用できる機能です。

携帯電話網(4G・5Gなど)が圏外の状態でも、iPhoneが直接人工衛星と通信し、SOS情報を伝えることができます。これまでアメリカやカナダなどで有効になっていましたが、本日のiOSアップデートにより日本でも利用可能となりました。

この機能では一般の緊急通報と異なり、音声は利用できません。簡易なチャットのみが行えます。チャットメッセージはAppleが運営するセンターで受信され、各国の緊急通報対処機関に連携されるということです。

iPhone 衛星経由の緊急SOS デモ画面

「衛星経由の緊急SOS」にはデモモードが用意されています。このモードを使うことで、SOSがどのように使えるかを試すことができます。

デモモードはiPhoneの「設定」→「緊急SOS」の最下部から実行します。誤って本当に通報することがないように十分に気をつけてください。

実際に試してみた動画 

東京都心のビルの谷間で実験しました。人工衛星を使った通信のため、空が見えている必要があります。また、人工衛星は常に移動し続けており、画面の指示に従って衛星の方向にiPhoneを向け続ける必要があります。実際に通報にかかる時間は1分～3分ぐらいですが、この時間でも衛星の方向が大きく変わるので、うまく衛星を追跡できないと通報が途中で終了してしまう場合があります。

この機能はそもそも携帯電話網が使えないエリアで利用することを想定しています。そういった場所はおそらく上空が開いているので、もう少し通報はしやすいと思います。空が見えにくい都心では素直に携帯電話網で通報する方が良いと思われます。

IIJmio モバイル データ通信専用eSIM (フルMVNO) 装着状態

SIMなし (eSIM無効状態)

技適番号の変更 (7/31追記)

本件について追加で調べていたところ、「衛星経由の緊急SOS」で新たな無線通信を行うようになったため、対応iPhoneの技適番号が変更されていることに気づきました。

この画像はテストに利用したiPhone 15 Pro (A3101) ですが、表示される技適番号が「003-230326」となっています。これは2023年11月30日に改めて登録された番号です。元々iPhone Pro 15は2023年9月12日に登録された「003-230184」が表示されていました。

iPhone 15 Pro (A3101) の新技適表示

総務省の技術基準適合証明等を受けた機器の検索で確認すると、他の機種でも新しい番号で登録しなおしているようです。

新旧技適番号を比較してみると、第２条第２８号の２の３に規定する特定無線設備(1.6GHz帯/2.4GHz帯移動衛星通信システム用携帯移動地球局) が追加されていることが分かります。こちらが「衛星経由の緊急SOS」で使用する電波だと思われます。

iPhone 15 Pro (A3101)の新旧技適