共有できる文章を書くコツ

2023年05月25日 木曜日


【この記事を書いた人】
ふぇにっくちゅん(守田 瞬)

2021年11月にセキュリティ情報統括室に所属。頑固なので、ニックネームだけでもやわらかくひらがなにしてみました。普段はハニーポットで収集したDDoSの発生源であるマルウェアを対象に分析しています。

「共有できる文章を書くコツ」のイメージ

おはようございます。こんにちは。こんばんは。ふぇにっくちゅん です。

普段仕事をする中で、様々な文章を書くと思います。
その文章は様々ですが、取り扱いが難しいものがあります。

たとえば、何かのプロジェクトで作成された文章(ドキュメント)はどうでしょうか?
プロジェクトのメンバーが限定されており、共有方法、保管場所などが決まっています。
このようなケースだと扱いやすいです。

では、プロジェクトには必須ではない文章はどうでしょうか?
たとえば、自分で調べたメモ、記録などです。
プロジェクトに関係あるものの、保管、共有が必須でないものが出てくると思います。

そのような文章は、取り扱いが難しいと感じることが多いです。
単に自分自身だけで閉じた文章であれば、自由にしておけばよいのですが…。

「この件で知ってることあったら教えてほしい」

できるなら…

「これ読んで」

このようにシンプルにできると理想です。

この理想に近づける補助をしてくれるのが、cats_dogs です。
cats_dogs をメモ共有アプリとして利用することで、シンプルな情報共有ができるようになります。
しかし、cats_dogs は単なる共有アプリであるため、適当に書いたメモを、他人に共有できる文章に整えてくれません。
あくまでも、cats_dogs は共有する文章の閲覧権限を柔軟に操作することで、情報共有の幅を広げてくれる支援ツールです。

ツールを導入して万事解決なんて世界はありません。
そのツールを、如何にして使いこなし、効果を発揮するかが大切です。
つまり、既存の方法を捨て去り、新しい方法とツールを組み合わせて、現在の不満を解決するわけです。

本記事では、cats_dogs を使いこなす前の段階として、共有できる文章を書くためのポイントを紹介します。

人に伝えるとは自分も含まれる

文書の賞味期限

皆さんも、自分のためにメモを取るのではないでしょうか?
メモにも色々ありますが、TO DO リストなどの一時的にしか使われないようなメモは、雑でいいと思います。
しかし、後で見返すための備忘録などは、雑であると困ってしまいます。

一度は体験したことがあると思いますが、昔書いたメモを読み返した時に、何が書いてあるかわからないという経験です。
よくあるのが、書きたいことがなぐり書きされているメモや、どこに何が書いてあるかわからないメモなどです。
書いている最中は、書いている内容が頭に入っているため、その時には読める文章になっています。
しかし、数日以上経つと途端に読めなくなってしまいます。

これは面白いことで、まるで文章の賞味期限があるかのような話です。
文章の賞味期限を長くするには、文章に論理展開があれば、時間が経っても読みやすくなります。
他にも、文章の冒頭にサマリがあれば、文章の全体像が把握しやすくなるような、文書の構造も大切です。

文章の賞味期限

伝える工夫

では、どのように文章を書けばいいのでしょうか?
ふぇにっくちゅんは、この問いには答えられません。
それは、文章を伝える相手が多種多様であり、万人に伝える文章というのは難しいからです。

文章を伝える相手が万人ではなく、一人であればどうでしょうか?
伝える相手を絞り込めば、途端に文章を書くハードルが下がると思います。
つまり、文章を伝える相手として、自分を選んだ場合が最も簡単です。
逆に言うと、少なくとも将来の自分にすら文章を届けられないようでは、だめだということです。

いきなり、多種多様な人に向けて文章を書くことは難しいです。
まずは、将来の自分に向けて、文章を書くことでトレーニングしていきます。
文章の書き方みたいなものが、世の中に存在していますが、あくまでもテクニックです。
誰に?何を?どこまで?伝えるかを考えると、テクニックを知らなくとも文章がまとまっていきます。
論理展開や文章構造が難しいという方は、以下のポイントを考えておくだけでも書く文章が変わります。

  1. 文章を伝える相手を決める(対象:自分自身)
  2. 前提知識がなくても、読みすすめられる文章を作成する

このことがある程度できるようになった後に、少しずつ「伝える相手」を広げていけば良いです。
自分と同じ知識レベルの人、事前知識が足りない人、というように意識を拡大していきます。
もちろん、伝える相手が変わると、同じ題材を扱うとしても、文章量や粒度、正確さなどが大きく変わります。

このように、普段書く文章の質が変われば「これ読んで」ができるようになります。
もちろん、常に誰かに見せる前提で文章を書き続けることは難しいです。
書き慣れたとしても、それなりに時間がかかるからです。
そのため、時間をかけるべき内容であるかどうかを、取捨選択することも大切です。

文章作成にかける時間は、自分自身で決めていけば良いと思います。
少なくとも自分が見返した際に、読める内容になっていれば、対象を拡大した文章に書き直すだけで済みます。
せっかく作成する文章であるなら、賞味期限が短いものではなく、長いほうが良いです。

文章を公開すると活性化される

皆さんは「共有」という言葉に対して、どのような印象があるでしょうか?
欲しい物が共有されると嬉しいのは当然ですが、逆に欲しくもないものが共有されると煩わしさを感じてしまいます。
この感じ方のバランスは、人や内容によってそれぞれです。
つまり、共有する人とされる人のバランスが取れれば「共有」がうまくいきます。

「〇〇な情報がほしい」と、欲しいものを示してくれる相手であれば、共有しやすいです。
逆に、欲しいものを示されない場合には、わざわざ共有しないと思います。
これは「伝える相手」がいなければ、文章を書くことが難しいからです。

前章までの話は、伝える文章の書き方を紹介しました。
つまり、文章を共有する前の段階の話です。
ここからは「共有」のきっかけをどのように生み出すか?について紹介します。

ブログ形式が共有を生み出す

「共有」を開始するには、誰がどのような情報を持っているかを把握できるようにすることが大切です。
共有してほしい情報を誰が持っているのかを知らなければ、欲しいとも言えないわけです。
このときに便利なのがブログ形式です。
メールやチャットなどのツールは、情報を共有することが決まっているケースでは便利です。
しかし、これらは相手が確定していなければ、使い道がありません。

一方で、ブログ形式は読んでくれる相手が確定していなくても共有ができるツールです。
ブログ形式は、一方向に情報を発信するもので、相互に情報を交換するものではありません。
つまり、文章を書いた人が、どのような情報を持っているか?を把握することに利用できます。

昨今では、リモートワークという形式で仕事をすることが普通になっています。
そのような環境下で、顔すらも見たことがない人が増えているのではないでしょうか?
誰がどのような技術情報を持っていて、困ったときに頼れる人がどこにいるか、を探すのが一苦労だと思います。
これでは「共有」する環境から程遠くなってしまいます。

社内で文章が公開できる状況だけ用意するだけでも、「共有」する環境は改善の方向を向くと思います。
ブログ形式の良さは、相手が確定していなくても、公開しておけば、そのうち誰かが読んでくれることです。
これだけでは「共有」という言葉には、少し遠い気がしますが、「共有」する行為を生み出せる可能性を高めてくれます。
ブログ自体は古く枯れた文章の伝え方なのですが、現代においては案外役立つツールだと思います。

ブログで共有をはじめる

文書公開の抵抗感

ふぇにっくちゅんは、ブログを公開することにあまり抵抗がなくなっているのですが、皆さんはいかがでしょうか?
社内の範囲だけに公開するとしても、少しネガティブな感情が湧く方もいると思います。
よくあるのは、文章が正確な内容であるべきや、すごい内容が書けないなどの理由で、ネガティブな感情に陥るケースです。
このようなケースでは、先述した「伝える相手」が間違っていることが多いです。

たとえば、自分向けの技術資料と新人向けの技術資料を二つ作成したとして、同じ正確さで文章を書きません。
自分が表現できる最大の正確さの上限はあるとしても、初学者に向けて難しく細かな表現を使わないはずです。
あえて正確さを捨て、曖昧に表現することで、初学者には伝わりやすい文章にしたいからです。
ブログ形式は、様々な人が読むことができる形式であるため、万人ウケする文章を作成しなければならないと勝手に思い込みやすいものです。
しかし、その思い込みは必要なく、共有する相手ではなく、共有するべき相手を正しく選べば、自信をもって文章を書くことができます。

おわりに

今回は、文書を書くコツについて紹介しました。
ここまでは、ブログと言う言葉を使っていきましたが、cats_dogs は CAT’S DOCument System です。
そのため、ドキュメントの共有システムとして、プロジェクトなどでも使えます。
ラフにプロジェクトチーム内での情報共有ができるようになります。

しかし、大切なのはシステムの機能よりも、共有される文章です。
そのこと忘れずに cats_dogs を利用してほしいなとボソッと書いておきます。
それでは、また会う日まで。

ふぇにっくちゅん(守田 瞬)

2023年05月25日 木曜日

2021年11月にセキュリティ情報統括室に所属。頑固なので、ニックネームだけでもやわらかくひらがなにしてみました。普段はハニーポットで収集したDDoSの発生源であるマルウェアを対象に分析しています。

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