突撃!隣のチームビルディング ~IIJ名古屋支社 技術4課編~
2024年07月01日 月曜日
CONTENTS
はじめに
三河からこんにちは。名古屋支社の北河です。
新年度も始まり、新入社員や新規案件でチームが誕生したり変化したりしていると思います。皆さんのチームは “ちゃんと” チームしていますか?今回はそんなチームにフォーカスを当てて、チームの誕生や変化時に行われるチームビルディングについてお話したいと思います。
是非最後まで見てくださいね!
チームビルディングとは?
歴史
チームビルディングを語る前に、実は歴史については意識したことが無いことをさきほど自覚しました。チームビルディングと言えばタックマンモデルが頭に浮かびますが、これは誕生というよりもチーム形成の段階についてです。ではチームビルディングはそもそもどういった経緯で誕生したのか?「誕生した背景を知る」という基本的なことをすっ飛ばしていたので改めて調べてみたのですが、残念ながら誕生の歴史は直接的な文献を見つけることは出来ませんでした。しかし、1920~30年頃に行わた「ホーソン実験」、1940年代に開発された「Tグループ (トレーニンググループ)」の影響を受けてチームビルディングは誕生したと推測できます。この歴史が詳しい方がいたら教えてください!
ホーソン実験
シカゴ郊外にあるウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行われた、職場環境が労働者の生産性に与える影響を調査した実験です。この実験から「労働者たちが研究対象として観察されていると感じると生産性の向上につながる」ことが発見され、社会的および心理的要因が労働者の生産性に影響を与えることが分かりました。これをホーソン効果と言うようです
Tグループ
カート・レヴィンによって開発された教育・トレーニング手法です。グループの中でのやり取りを観察し、フィードバックを受けることで、自分自身を知り他人との関係を良くすることを目指しています
目的とメリット
一般的によく言われるのは下記のような内容ですね。
- コミュニケーションの向上
- メンバー間の情報共有がスムーズになることで、認識齟齬や対立が減少します。要は誰も得しない不毛な時間が減ります
- 信頼関係の構築
- 対人リスクが取ることが出来る環境になることで、安心してチームで作業が出来るようになります。いわゆる心理的安全性ですね
- チーム結束力の向上
- メンバーの背景や力の源を共有することで、個々の強みを活かせるようになり、チームはより効果的に目標を達成できます
名古屋支社 技術4課のチームビルディング
では、私たちの技術4課のチームビルディングはどのような目的で実践しているのでしょうか?ちょっと覗いでみましょう!
目的
チームビルディングの目的は、抽象度を上げると上記のような『コミュニケーションの活発化』や『組織(チーム)の結束力を高める』などになるかなーと思います。これに対しては誰も異論を唱えることはなく『そうだよねー』だと思います。それらに組織の方向性やプラスαの目的が加わることで、より具体化された百人百様の目的になります。
私たちのチームビルディングはプラスαとして、「アジャイルチームとして案件遂行できる」になるためのチームビルディングを行っています。なので、アジャイルマインドの注入もこのタイミングで行います。
私たちの目的を具体化するとこのようになります。
- チーム形成
- チームメンバーのバックボーン・モチベを知り、個の集まりからチームになる
- アジャイル
- アジャイルの特徴を理解し、アジャイルなチームになる
- プロジェクト
- プロジェクトのゴール、目指すものを知る
- チームビルディング後の活動を理解する
開催トリガ
私たちのチームビルディングは、チームが結成された時だけではなく、チームにインパクトがある変化が発生するたびに行っています。例えば下記のような変化です。
- 新しくチームが結成される
- 新しいメンバーが合流する
- チームが対応するサービス・プロダクトが変わった
具体的な取り組み
座学だけではなく、付箋を使ったワークショップ形式でチームビルディングを行います。私たちのチームビルディングは全くの新規の場合は最大3日間かけて実施します。3日間というキーワードはどのように感じたでしょうか?3日間もかけすぎでしょ!という意見もあると思いますし、もっと期間かけているよ!っていう意見もあると思います。
私たちも最初から3日間だった訳ではなく、様々な経験をしてきた中で、現時点では3日間のコンテンツがベストと感じてここに落ち着いています。ではどのような内容でしょうか?ちょっと覗いてみましょう!
- 1日目 : アジャイル・スクラムの座学・体験
- 自己紹介
- アジャイル開発の概要説明
- スクラムの概要説明
- レゴスクラム体験
- 2日目-1 : プロジェクトの概要を知る
- プロダクト概要の説明
- インセプションデッキ作成
- われわれはなぜここにいるのか、エレベータピッチ、ご近所さんを探せ、トレードオフスライダー
- 2日目-2 : アジャイルチームを作る
- チームで仕事するということとは
- お互いを知る
- 目指すものを明確にする
- チームで大切なことは?ワーキングアグリーメント、チーム名を決定する
- スクラムの時間割を設定する
- チームを運営の方針をPOと合意する
- 3日目 : スプリント0でやることを整理する
- スプリント0の説明、ゴールの共有
- MVPとは
- バックログと計画の説明
- バックログの作成方法、粒度
- バックログの優先度決め
- 相対見積に関する座学
- 全体見積、リリースバーンダウン
- プロダクトの概観整理の説明
- 開発環境、検証環境、本番環境
- ネットワーク等のアーキテクチャの整理
- 非機能要件の整理
- 環境・非機能要件から技術的負債の洗い出し
- チームについての説明
- メンバースキルの明確化
- 不安に思っていること、心配ごとの洗い出し
さて如何でしょうか?まとめるとこんな感じかなと。
- 1日目 … アジャイル・スクラムを理解してもらうためにレゴスクラムを体験してもらいます
- 2日目 …これから作っていくサービス・プロダクトを理解し、アジャイルチームになってもらいます
- 3日目 … 4日目から始まるスプリント0を理解してやることを整理します
アジャイルなチームになるためのポイント
全部は紹介しきれないので、アジャイルなチームになるためのポイントについてだけ紹介します。
1日目のアジャイル・スクラムの座学と体験では、主にアジャイルマインドについて話をします。アジャイルマニフェストの4つの価値と12の原則を、私たちの体験談も入れながら出来るだけイメージしやすいように話をしています。もっとも大切なこととして、皆さん大好きな方法論やプラクティスはアジャイルマインドが根底にあって初めて意味があるということを口酸っぱく伝えています。
皆さん勉強熱心なので、本を読んだり、カンファレンスで話を聞いたりしてアジャイルやスクラムの進め方は非常に詳しくなっていると思います。しかし、それは下図の「組織、チームそれぞれの文化、方法論」の話であり、アジャイルマインドが十分に注入された状態での組織や文化で生まれた方法論であるため、そのまま自分たちの組織に持ち込んでも上手くいかないといった話です。アジャイルマインドが無い状態でやり方だけ真似ても上手くいかないのは目に見えていますよね?
2日目の「アジャイルチームを作る」も非常に大切なコンテンツです。ここではなぜチームで仕事するのか?について話をしています。今やバズワードとなっていますが、心理的安全性の対人リスクの話や、Team Geekで出てくるHRT (謙虚(Humility)、尊敬(Respect)、信頼(Trust)) についても話をしています。
レゴスクラム体験
これら大切なことも頭では理解していてもなかなか行動に移せないのが人間です。なのでレゴブロックを使ったスクラム体験をしてもらいチームの成長を実感してもらっています。
チームはとある仮想会社に勤めている想定で、提供するサービスのテーマが決まっている状態で始めてもらいます。ペルソナ、エレベータピッチを考え、バックログを構築してスプリントを開始します。
レゴスクラムでは、1スプリントを数十分といった短いスプリントを3回行います。この数十分には、「計画・構築・レビュー・ふりかえり」が入りますので、構築は実質10分以内です。数分で何が出来るのか?と皆さん不安になるのですが、3スプリント目には立派な建物が出来ているんです。これがチームのパワーですね。
では少し実際の様子を見てみましょう。
スプリント2のレビュー後のバックログです。スプリント1は思ったように出来なかったようですが、スプリント2ではかなり上手くいったようですね。しかしレビューでプロダクトオーナーからフェードバックを貰ったようでスプリント3に投入されていますね。
スプリント2の構築が終わりレビューの時間です。チームは今回のインクリメントでどんな価値が提供できるようになったのか熱く語ってもらいます。
そしてふりかえりです。シンプルなKPTでふりかえってもらいます。このチームはTryがいっぱい出ていますね!それもPからではなくKからも良く出ています。
スプリント3が終了した状態です。スプリント2と比べると真ん中に大きな建物が出来ていますね。それ以外にもヘリポートと人のような何かが立っています。
雰囲気は伝わったでしょうか?スプリント1ではチーム感はなく個々で動いていたのが、ふりかえりを行うことでコミュニケーションがどんどん上手になり、最後には最高のチームになって皆さん最高の笑顔になりました。パフォーマンスも段違いです。
このレゴスクラム体験で、チーム力を発揮するにはコミュニケーションが大切で、コミュニケーションを取るには、心理的安全性が大切といったことを約3時間で体験してもらいました。
実際の現場ではこんなに上手に行かないこともあるとは思いますが、この成功体験を思い出してもらって最高のチームになって欲しいですね!
まとめ
今回は私たちのチームビルディングを取り上げてみました。チームビルディングは各社の想いが反映されるので、様々なチームビルディングがあると思います。なので私たちのチームビルディングを見て興味を持ったり、参考になることがあればとても嬉しいことだなーと思います。
チームは人で構成されます。人は神ではないのでテレパシーで考えていることを伝えることはできません。声を出さないと伝わらないです。でも声を出すことはとても勇気が必要です。チーム結成時や新しく入ったメンバーは特にそう感じると思います。このチームビルディングでそういった勇気が必要な場面を少しでも和らげることが出来たらみんな幸せになると思います。
「突撃!隣のチームビルディング」というタイトルで記事を書きました。この記事を読んだ誰か、このしゃもじを引き継いで隣のチームビルディングを書いてみませんか?
最後に宣伝となりますが、私が所属している名古屋支社開発チームは開発ベンダーでありながらアジャイルでお客様のビジネス拡大に貢献したい!と活動しています。チームビルディングの内容をもっと聞いてみたい、興味がありましたら個人やIIJのXで良いので是非ご連絡ください!
執筆者X | @nk_tamago ※意見は個人のものです |