その後の新型コロナウイルスのフレッツトラフィックへの影響

2020年05月01日 金曜日

「その後の新型コロナウイルスのフレッツトラフィックへの影響」のイメージ

はじめに

前回の報告では、全国の学校の臨時休校が始まった3月2日前後の4週間のトラフィックについて報告しました。今回はその後の6週間のトラフィック状況を報告します。

3月後半以降、3月25日の東京都の外出自粛要請、4月7日の7都府県への緊急事態宣言発令、さらに4月16日の緊急事態宣言の全国への拡大などを経て、社会の状況は大きく変わりました。それに伴い家で過ごす人は増えているはずですが、フレッツのトラフィック量にはそこまで大きな変化は見られません。

その後のトラフィック状況

図1と図2にIIJのフレッツトラフィック総量の推移を1週間ごとに重ねて示します。これはIPv6 IPoEを含まないPPPoEのトラフィックになります。上の図は前回報告した4週間のプロットで下の図は3月9日からの7週間分のプロットです。比較のため、3月9日の週は上下のプロットに共通で青線で示しています。したがって下の図が今回の報告対象です。

図1 フレッツトラフィック推移: ダウンロード 2/17-3/15(上)と3/9-4/26(下)

 

図2 フレッツトラフィック推移: アップロード 2/17-3/15(上)と3/9-4/26(下)

 

図1(下)のダウンロードをみると、全体として大きな変化は認められません。4月に入って平日昼間が若干増えてきていますが、ピークはほとんど変わっていません。後述するように、月曜の昼間の増加は天気の影響もあると思われます。

図2(下)のアップロードをみると、平日昼間がどんどん増えて来ていて、徐々にリモートワークの体制が整ってきたためだと考えられます。昼休みの時間に落ち込むのはビデオ会議が行われないからと推測できます。また、アップロードは3月中旬までは平日昼間だけが増加していましたが、最近は夕方や休日にも増えています。これは、利用者がビデオ会議ツールを使い慣れるにつれ、飲み会などのプライベートな集まりにも利用するようになってきたためではないかと推測できます。しかし、アップロード量のピーク値はダウンロード量のピーク値の1/7程度なのでダウンロードに比較して量的に大きく増加している訳ではありません。

図3と図4にIPv6 IPoEのトラフィック量の推移を示します。図3(下)をみると、ダウンロードのピークも伸びている事と、平日昼間が4月に入って増加しているのがはっきりわかります。PPPoEより増加が大きい事から、PPPoEでの輻輳を避けるためにIPoEへと移行が進んでいる事がうかがえます。図4(下)のアップロードでは、夕方から夜にかけて昼間と同じぐらいのピークがあります。

図3 IPv6 IPoEトラフィック推移: ダウンロード 2/17-3/15(上)と3/9-4/26(下)

 

図4 IPv6 IPoEトラフィック推移: アップロード 2/17-3/15(上)と3/9-4/26(下)

 

その他グラフから気づいた点を挙げておきます。2月24日(月)と3月20日(金)は休日で明らかに平日のパターンとは異なります。3月11日(水)の早朝から午前のトラフィック増は人気ゲーム”Call of Duty:Warzone”の配信の影響だと思われます。この日にはマイクロソフトの月例アップデートもあったのでその影響も含まれるはずです。

また、季節柄か天気が良いとトラフィックが減り、天気が悪いと増える傾向も見えます。3月20日(金)から22日(日)の三連休は全国的に天気に恵まれ人々の気持ちが緩んで外出が増えたとされていますが、それを裏付けるようにトラフィックも少なくなっています。4月18日(土)は東日本や東北で大荒れの天気となり、この日はトラフィックが増加しています。4月13日と4月20日は関東で2週続けて雨の月曜だったためかトラフィックも多めとなっています。

まとめ

前回の報告では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で家庭でのインターネット利用が増加し、個別の回線やサービスで問題が顕在化している一方で、マクロレベルでは平日昼間のトラフィックが少し増えたものの現状ではなんとか既存の容量に収まっている事を報告しました。この状況は、3月後半から4月を通してあまり変わっていませんが、リモートワークと思われるトラフィックが徐々に増えて来ている事も確認できます。

最近になって、NTT東日本NTT西日本NTTコミュニケーションズからもフレッツのトラフィック量について発表がありました。NTT各社の観測はIIJの観測とほぼ一致していますので、フレッツを使ったブロードバンドサービスでは大体同じような傾向だと思われます。

ただし、トラフィック量の観測では、動画が量的に他のコンテンツより圧倒的に大きいため、ダウンロードではビデオ視聴の、またアップロードではビデオ会議の割合が支配的になってしまい、動画以外の利用傾向はなかなか見えてきません。トラフィック量だけでインターネットの利用動向を説明するには限界があります。

新型コロナウイルスの収束が見えない現状では、今後について予想するのは難しいところですが、今後もリモートワークの環境整備が進んで、リモートワークのトラフィックが徐々に増えていくと思われます。また、5月の連休明けからは、オンライン授業を本格的に始める学校も増えそうです。これらの影響で、ピークの時間帯が平日午後になるかも知れません。

長 健二朗

2020年05月01日 金曜日

IIJ 技術研究所に所属。インターネット計測とデータ解析などの研究に取り組んでいる。

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