New Years Celebration drop – 年越しのトラフィック減少
2021年01月18日 月曜日
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新年あけましておめでとうございます。アドベントカレンダーをご覧いただいた皆様はお久しぶりです。ネットワーク技術部の竹﨑です。
皆様、年越しはどのように迎えたでしょうか?私はISPやIXPなどの各事業者が公開しているトラフィックグラフや自社のトラフィックグラフを眺めながら新年を迎えました。
2020年から2021年になった瞬間にインターネットやIIJバックボーンが変化するわけではありませんが、ルータ達がくれる情報であるトラフィックグラフは普段とは違う傾向が見られます。今回は私が観測したトラフィックグラフや分析した内容についてお話します。
そもそもトラフィックグラフって?
IIJをはじめ各ISP事業者はバックボーン運用に必要な情報として各機器から様々なメトリクスを収集しています。収集しているメトリクスの1つにトラフィック情報があります。トラフィック情報はユーザの行動が大きく反映されます。その後の新型コロナウイルスのフレッツトラフィックへの影響はまさにユーザの行動を表したものとなっています。
余談ですがIIJはメトリクスの収集にGRIと呼ばれる内製のツールを使っており、GitHubで公開しているので興味のある方はぜひご利用ください。
IIJ年越しの様子
インターネット接続サービス収容ルータ
年越しの前にインターネット接続サービスを収容しているルータの平常的なトラフィックを見てみます。青色のグラフ軸は2020/12/14週の平均です。基本的には以下のようになります。大体22~23時にピークが訪れ、深夜から朝方にかけて減少していき、6時ごろから再び増加していきます。グラフの時間軸はJSTなので、大半の人がそのリズムに思い当たりがあると思います。
では年越し(2020/12/31 12:00~2021/01/01 12:00)のトラフィックを見てみます。上のトラフィックとは異なり0時を境にポコっと下がっています。そして、大晦日はトラフィックが全体的に少なめとなっています。
フレッツ収容ルータ
インターネット接続サービスのみではなく、フレッツのサービスを収容しているルータの年越しトラフィックも見てみましょう。こちらも減少が見られます。
MVNOサービス収容ルータ
最後はMVNOサービスを収容しているルータの年末トラフィックです。こちらはなんと上昇していました!0時0分0秒きっかりにメッセージをやり取りする方はやはり多いのでしょうか?また、他のグラフに比べて平常はお昼ごはん時間帯にピークを迎えるなど固定回線系サービスと比べてトラフィックグラフの違いが見られますね。
しかし、MVNOサービス収容ルータでの増加分とインターネット接続サービス収容ルータ、フレッツ収容ルータの減少分の総計では減少している量が多いのでIIJトータルとしては減少傾向です。
では、他の事業者さんはどうだったのでしょうか?ここからは筆者が各事業者のWebサイトからベストエフォートで取得したグラフを引用させていただきます。
国内
JPNAP
JPNAPはインターネットマルチフィード株式会社が提供する商用IXサービスです。IIJも接続しています。
日付変更線と被って少し確認しにくいですが、アップしてみると下がっているように見えなくもない…?しかしパッと見て感じられるほどの減少はなさそうです。
JPIX
JPIXは日本インターネットエクスチェンジ株式会社が提供している日本初の商用IXサービスです。
2拠点ともにわかりやすく減少しています。
Tokyo
Osaka
NTTぷらら
NTTぷららは個人向けISPでトラフィック情報を提供している数少ない事業者です。個人利用者の多いISPさんの例としてあげさせていただきました。
グラフは東京の使用率ですが、やはりこちらも減少が見られます。
海外
国内事業者の減少は確認できました。では海外でも同様でしょうか?
AMS-IX
AMS-IXはオランダのアムステルダムに拠点を置くIX事業者です。ピーク時には9Tbpsほどトラフィックを交換する世界有数のIXです。
こちらも減少が見られます。
DE-CIX
DE-CIXはドイツのフランクフルトに拠点を置くIX事業者です。ピーク時には10Tbpsを超えるトラフィックを交換する世界有数のIXです。IIJも接続をしています。
こちらも減少しています。
LINX
LINXはイギリスのロンドンに拠点を置くIX事業者です。こちらもDE-CIX同様IIJも接続しています。
下の時間軸がJSTになっていますが、UTCの0:00は丸内の部分です。こちらも減少しています。
ところで
日本の大晦日のグラフは19時ごろから各事業者で不思議な形をしていました。
JPNAP
IIJ
大晦日のゴールデンタイムから始まるものと言えば、ガキ使(18:30~)と紅白歌合戦(19:30~)ですね。この時間帯は顕著に減少しています。そして昨年はThis is 嵐 LIVE 2020.12.31(20:00~)のオンライン配信が行われていました。この時間帯からトラフィックが増加しています。大晦日の19時以降はTVや嵐のライブの影響が出ていたと思われます。更に興味深いのが21:45頃に再度落ち込んでいる部分です。このタイミングは紅白歌合戦に嵐が出ていたタイミングと一致します。
まだまだテレビが強いと感じるグラフです。
三賀日
三賀日は皆様どのように過ごされたでしょうか?目覚ましに縛られずのんびり寝る?そんな行動がグラフに現れていたのかもしれません。1/3のJPNAPさんのグラフではグラフのサイクルが先週と比べて1時間ほど遅れていました。いつもより1時間のんびり生活をしていたのかもしれませんね:)
最後に
今回私がグラフを見ながら年を越したのも年末に先輩から「年越しのタイミングはトラフィックが減少するんだよ」と教えていただいたことがきっかけです。そんな年明け最初のバックボーン運用部隊の話題は「今年も年明けはトラフィック減少した」や「皆帰省するから下がるわけではなかったのか」などトラフィックに関するものでした。
最近では社内のブログにバックボーンチームのプレゼンス向上のためにコソコソとブログを投稿したり、IIJ Technical WEEK 2020でインターネットバックボーンがテーマになったり、JANOG47で発表する予定があるなど社内外でIIJバックボーンが流行しています(?)。今回の投稿も社内のブログにIIJバックボーンブログとして投稿したものがきっかけです。
今更ですが、タイトルはTwitterで年越しのトラフィック減少についてNew Years Celebration dropと言われており、おしゃれだったのでそこから拝借しています。来年はIIJが接続しているIX事業者のグラフで比較等行えるよう準備を行おうと思います。