松江データセンターパーク 新棟建設現場から ~ 起工式の様子と工事状況 ~

2024年08月19日 月曜日


【この記事を書いた人】
佐野

松江データセンターパーク(以下松江DCP)で9年間事務職として勤めています。松江DCPにおける各種発注、人事関連手続き、その他庶務業務をメインに従事しており、各種認証対応、運用改善、運用・運営のサポート業務、以前勤めていた機械警備の警備員としての経験を活かし、施設セキュリティ設備・異常対応を行っておりました。今年度から技術職に転向し庶務業務から離れ、新棟建設の対応を設計・施工対応にも携わっております。

「松江データセンターパーク 新棟建設現場から ~ 起工式の様子と工事状況 ~」のイメージ

自己紹介

執筆を担当させていただく、IIJの佐野と申します。

本工事が行われている松江データセンターパークに入社時から在籍しており、かれこれ10年目になります。

本事業に携わることとなり、現場の状況を皆さんにお伝えさせていただきます。

松江データセンターパークとは

2011年426日、IIJは日本初の商用外気冷却方式モジュール型データセンター「松江データセンターパーク(以下、松江DCP)」を島根県松江市に開設しました。

松江DCPでは、IIJが長年のDC運用で培ってきたノウハウを集積して開発したITモジュール「IZmo(イズモ)」を導入するほか、国内外のエンタープライズへの広がりや新たな市場への発展として、外販の需要に対応するため、間接外気冷却方式を取り入れたモジュール型データセンター「co-IZmo/I(コイズモ・アイ)」も運用しています。IIJのクラウドサービスである「IIJ GIO(ジオ)」の基盤設備として、開設してから現在まで安定して運用されており、すべて合わせると数万台のサーバが稼働しています。

2013年にサイト1の隣に増設したサイト2では、IZmoに加えてco-IZmo/Iを導入しました。サーバなどのIT機器への給電方式として三相4線方式を採用して電力損失低減を実現し、省エネルギー化に繋げています。

一般的にデータセンターは、大量のサーバなどのIT機器を効率良く設置する環境を実現するために、大容量の電気設備や空調設備を備えています。データセンターで最も多くの電力を消費するのはIT機器類ですが、次に消費電力が大きいのが空調設備です。省エネを推進するには、従来の空調方式を見直し、消費電力量が少ない新たな空調方式を導入する必要がありました。IIJでは過去の実証実験を通して、外気を利用し消費電力を削減し、冷却塔などの設備の必要がない「外気冷却方式」が次世代のデータセンターに適していると考えました。しかし、外気冷却方式では、大量の空気を吸排気するため、開口部をサーバルームに直接設ける必要があります。このため、既存のビルに外気冷却方式を導入するには、建物の構造として解決しづらい問題がいくつか存在することになります。そこで、空気を吸排気する風洞(ダクト)とサーバルームを一体化させたITモジュール「IZmo」を開発し、導入しました。

IZmoは、国交省が20113月に出した技術的助言に準じた、建築物ではないコンテナであり、建築確認申請の手続きが不要なため、モジュールの構築を容易に行うことができます。また、従来はデータセンターで大量のサーバを1台ずつ箱から出し、ラックに設置して配線しなければなりませんでしたが、コンテナ型データセンターでは、サーバ工場で製造したサーバ等の機器を、工場でそのままITモジュールに搭載、ITモジュールごとトラックで運搬し設置することができます。箱や梱包材などの廃材を出さず、資源環境への貢献や輸送時のCO2削減にも寄与しています。最近ではIT機器のリプレース時にコンテナを取り外すのではなく、コンテナ内のサーバラックをすべて出してサーバ工場へ持ち込み、工場でサーバラック内に機器を搭載して、再度コンテナ内に搬入設置する形態もとっています。

IZmoは直接外気冷却方式を採用し、外気の温度、湿度に応じて3つのモード(外気運転、混合運転、循環運転)を自動的に切り替え、ITモジュール内部のサーバの吸い込み口の温度を、Ashrae(米国暖房冷凍空調学会)が2008年に定めた推奨温湿度条件になるように制御しています。

co-IZmo/Iは間接外気冷却方式を採用しました。直接外気冷却とは違い、外気を直接コンテナ内に入れず、熱交換器を介して間接的に内部の熱を外部に排気することにより、外気の条件が良くない場所でも利用が可能になり、海外に輸出した実績もあります。

松江DCP

システムモジュール棟建設の背景

現在約500ラックある松江DCP2025年度中に満床となる見込みであることから、今回新たにコンテナ型モジュールより収容効率の高い「システムモジュール棟」を建設することといたしました。

需要拡大するIIJサービスの設備基盤として、またデジタル田園都市国家構想で求められる地方デジタル基盤の核となるデータセンターとして、2025年度に運用を開始する予定です。

省エネの取り組みとして、「外気冷却空調方式」並びに、効率的に空調搬送できる「壁吹き出し空調」を採用します。

また、DC運用業務の自動化、及び当社の白井データセンターキャンパス(千葉県白井市)で採用している入館手続き受付の自動化を採用し、DC利用者の手間となる入館時の負荷軽減や省人化も推進いたします。

設備概要

  • 建築面積:約2,000
  • 設備収容:300ラック
  • 空調方式:直接外気冷却方式

松江DCPシステムモジュール棟 完成イメージ図

起工式

2024年6月6日(木) 大安 曇り

松江DCPシステムモジュール棟建設の起工式が行われました。

当日は湿度が高めでしたが、気温は20度前後であり、過ごしやすいとまではいきませんでしたが、汗だくになることもなく式典を行うことができました。

式典が開始されますと独特な空気感が流れており、撮影係の私もより一層緊張感を感じておりました。

また、メディアの方が5社取材に入っており、会場内が混雑しておりましたが、起工式の模様をバッチリ押さえることができましたので、写真にてご紹介いたします。

会場入場

手水の儀(式場に入る時に身を清める)

松江DCPシステムモジュール棟建設工事の起工式開始

修祓の儀(穢れを払って清浄になる儀式)
祝詞奏上(神前に工事の安全を願って祝詞を奏上)

地鎮行事(穿初の儀)、IIJ常務執行役員 山井

 

工事状況

2024年6月から基礎工事が始まりました。

組まれた足場や地面を掘り起こしている現場を見ると、建設工事が本格的に開始されたのを実感いたします。

現在の工事現場の状況を写真にてご紹介させていただきます。

 

最後に

工事は日々順調に進んでおります。

これからも現場は元より近隣施設等にも配慮し、より一層安全第一を心がけて行ってまいります。

 

今回はここまでとさせていただきます。次回は建設工事の様子をお伝えします。

佐野

2024年08月19日 月曜日

松江データセンターパーク(以下松江DCP)で9年間事務職として勤めています。松江DCPにおける各種発注、人事関連手続き、その他庶務業務をメインに従事しており、各種認証対応、運用改善、運用・運営のサポート業務、以前勤めていた機械警備の警備員としての経験を活かし、施設セキュリティ設備・異常対応を行っておりました。今年度から技術職に転向し庶務業務から離れ、新棟建設の対応を設計・施工対応にも携わっております。

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