IIJの季刊技術レポート「IIR vol.62」(2024年3月号) 発行のご挨拶

2024年03月22日 金曜日


【この記事を書いた人】
IIJ Engineers Blog編集部

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※本記事は、2024年3月発行のIIR Vol.62より「エグゼクティブサマリ」を転載したものです。

エグゼクティブサマリ

本年最初の「IIR」Vol.62をお届けします。日本の2024年は能登半島を襲った巨大地震から始まりました。令和6年能登半島地震で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

元日の午後、マグニチュード7.6、最大震度7の地震により、地域に暮らす人々のインフラが一瞬で破壊されました。電気通信のインフラも例外ではありません。移動通信事業者4社は共同で記者会見を開き、地震による被害として、ビルや基地局の停電、中継伝送路や基地局伝送路の断を発表しました。非常時においても、平常時と同じようにスマートフォンでインターネットを利用できることの重要性は、過去の災害時にも指摘されています。先の記者会見でも、利用者にとって移動通信は不可欠であり、その基盤となるのが電力と光ファイバーであることが象徴的に報じられました。

電力の確保には、移動電源車や発電機など、物理的な対処が必要となりますが、今回、伝送路の代替手段として活躍したのは衛星通信でした。従来も災害時には衛星携帯電話が利用されていましたが、この度の地震では、低軌道周回衛星を利用した高速データ通信が、基地局伝送路やWi-Fiスポットとして提供され、非常に有益であったと報告されています。ブロードバンド時代においても、光ファイバーと地上の無線通信を、衛星による無線通信で補完できることが示された事例となりました。

「IIR」は、IIJで研究・開発している幅広い技術を紹介しており、日々のサービス運用から得られる各種データをまとめた「定期観測レポート」と、特定テーマを掘り下げた「フォーカス・リサーチ」から構成されます。

1章の定期観測レポートは「SOCレポート」です。例年同様、前年に発生したセキュリティに関する出来事から、IIJのSOCが注目したものをまとめると共に、SOCにおける課題解決の取り組みを2点、トピックとして取り上げています。1点目は、SOCで運用しているデータ分析基盤の課題とdbtの導入、2点目は、時間間隔のばらつきに着目したC&C通信の可視化に関する説明となっています。どちらもIIJのSOCが行っている業務の具体的な事例として、興味深く読んでいただけると思います。

2章のフォーカス・リサーチでは、情報処理学会で発表した「送信ドメイン認証技術を用いた送信者レピュテーションの構築手法とフィードバックループを備えたメールシステムに関する研究」から、送信者レピュテーションの構築手法について紹介します。メールはインターネット創世期から現在に至るまで広く利用されているアプリケーションであり、その安全性を保つことが社会的に強く要請されています。ここで提案した手法は、送信ドメイン認証技術の認証結果だけを利用したもので、メールの内容を参照する必要がなく、プライバシー保護の観点からも有益です。実際のメールを利用した検証でも有意な効果が出ており、送信ドメイン認証技術の有効性を検証できたと考えています。

3章のフォーカス・リサーチは、IIJの30周年特別コンテンツとして、データセンターを取り上げます。インターネット前夜を含む1990年代から、カーボンニュートラルやAIなどデータセンターに対して多様な需要が生じた2020年代まで、IIJの取り組みを時代背景と共に紹介しています。この30年間でテクノロジーは大きく進化し、インターネットも社会も大きく変化しました。データセンターはその変化を支えてきた重要なインフラであり、今後も支え続けていくという強い想いを持ちながら、30年間を振り返りました。ぜひご一読ください。

IIJでは、このような活動を通じて、インターネットの安定性を維持しながら、日々改善し発展させていく努力を続けております。今後も企業活動のインフラとして最大限に活用していただけるよう、様々なサービス及びソリューションを提供してまいります。

本レポートの全文はこちらからご覧いただけます。

Internet Infrastructure Review(IIR) vol.62(2024年3月発行)

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