IIJ IoTサービスを使ってお手軽・低コストに監視カメラを導入する方法
2020年05月11日 月曜日
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IoTと言うと、センサーなどからのデータをモニタリングしたり、そのデータを分析したり、スマートデバイスや家電と連携させたり遠隔で操作したり、と言ったことを想像される方が多いのではないかと思います。
最近は、そのIoTと監視カメラ(ネットワークカメラ)を組み合わせる例が多くなっております。
そこで今回は、IoTと監視カメラを組み合わせることでどのようなメリットがあるのかまとめました。
監視カメラの導入・運用時の課題
最近は家庭用の監視カメラがかなり普及してきました。家庭用監視カメラの場合はSDカードに映像を保存する例が多いですが、 一定期間だけクラウドストレージに保存できる機種も増えてきています。家庭用の場合、それほど信頼性を求められることもなく、またデータ量もそれほど大きくないことから、そのような方式でも成立します。
一方、業務用の監視カメラの場合、高い信頼性を求められることに加え、多数のカメラを設置したり長期間データを保存したりするためデータ容量が大きくなりがちです。そのため、カメラに加え「NVR(Network Video Recorder)」や「VMS(Video Management System)」と呼ばれる専用のレコーダーを導入し、それらを有線LANで接続するような方式が多く使われています。
しかし、この方式の場合、以下のような話が聞こえてきます。
- 有線LANの敷設・設計・工事や、NVR・大容量ストレージ・PCなどの設置に大きな労力とコストがかかった。
- 録画した映像は、現地に行かないと閲覧できなくて不便。
- 遠隔地から映像閲覧できるようにカメラやNVRをインターネットに接続したら、多数の攻撃を受けて対応に苦慮している。
- 機器の故障や異常停止を検知できずに、後で録画できていないことに気づいた。
課題を解決するために
これらの課題は、IIJ IoTサービスとネットワークカメラを組み合わせることで、シンプル・安全・安価に解決できます。
モバイル回線とクラウドストレージを使用することで、シンプルかつ低コストで導入可能
通信には有線LANではなくモバイル回線を使用します。映像はNVRなどの専用機器ではなく、モバイル回線経由でIIJ IoTサービスのクラウドストレージに保存します。これにより、ネットワーク敷設やNVR導入などの労力・コストを削減できるとともに、簡単に監視カメラを導入することができます。
モバイル回線は「上り優先オプション」で通信料を抑えることができますし、クラウドストレージも1GBあたり毎月7円と非常に安価な価格設定となっています。
なお、IIJ Omnibusサービス を組み合わせることにより、有線LAN経由で映像を保存させることも可能です。IIJ Omnibusサービスは、インターネット・WAN・セキュリティなどのネットワーク機能を仮想化してオンデマンドで提供する、クラウド型ネットワークサービスです。モバイルでは帯域不足で送信できない超高画質の監視カメラ映像が必要だったり、WANの構築・再構築と合わせて監視カメラを導入するような場合は、IIJ Omnibusサービスも合わせてご検討ください。
閉域ネットワークによりセキュリティを担保
カメラや通信機器は、インターネットから隔離されている閉域のネットワークに接続されるため、外部から直接攻撃を受けることはありません。
また、カメラの映像は、パブリックなインターネットを経由せずに 閉域ネットワークとIIJバックボーンを経由してクラウドストレージに保存されるため、データ通信がセキュアに保たれます。
IoTで、遠隔地からカメラの制御や映像確認が可能
IIJ IoTサービスのデバイス遠隔操作の機能を使用して、遠隔地からカメラを操作したり、リアルタイムの映像を閲覧したりできます。また、クラウドストレージに保存されている映像も、IIJ IoTサービスの動画ビュアー機能(β提供中)を使用して閲覧することができます。カメラ操作や映像を閲覧するために現地に赴く手間を省くことができます。
動画ビュアー機能(β提供中)でスマートフォンから映像を閲覧している例
カメラの状態監視が可能
カメラからの通信が途切れた際は、 IIJ IoTサービスのデバイス監視機能で警告を通知でき、機器の異常もすぐに検知することができます。
このように、IIJ IoTサービスのデータ蓄積機能を利用してカメラ映像を保存し、デバイスの遠隔操作機能を利用してカメラをリモートから操作し、監視機能を利用してカメラの動作異常時に通知してくれる──IoTと監視カメラは親和性が高いことがわかると思います。
利用シーン
以下のような利用シーンが考えられます。
- 工事現場
有線LANの敷設が難しかったり、短期間しか使用しないような場面でも、手軽に導入可能です。 - 遠隔地の無人施設
太陽光発電施設・資材置き場・駐車場などの無人施設にカメラを設置することで、遠隔地から映像を参照したりカメラを操作したりできます。 - 工場
新たなネットワーク敷設が難しい場合でも、カメラをポン付けで設置できます。
また、カメラ映像に加えて工場ラインの 機械を制御する装置(PLC) などの情報もIIJ IoTサービスに送信することで、より高度な情報分析に繋げることもできます。
まとめ
今回は、モバイル回線・IIJ IoTサービス・カメラを組み合わせて、シンプルかつ低コストに遠隔操作できる監視カメラの導入方法をご紹介しました。ご興味のある方は、弊社担当営業かお問い合わせフォームよりご連絡いただければ、詳細をご説明します。パンフレットも用意してありますのでご参照ください。
余談
RICOHが販売している全天球カメラ 「THETA」をご存知ですか?
THETAの上位モデルの特徴は、”Plug-in”と呼ばれるカメラ内部で動作するアプリを開発できることです。今回、THETAで撮影した全天球動画をIIJ IoTサービスのクラウドストレージにリアルタイムで保存するPlug-inを試作してみました。動画ビュアー機能は全天球動画にも対応しており、720°の動画をマウスで上下左右に動かしながら閲覧することができます。
THETAで撮影した全天球動画を試作Plug-inでクラウドストレージに自動的にアップロードし、それを動画ビュアー機能でグリグリ動かしながら閲覧している例
THETAを監視カメラ用途として使うのは少し厳しいと思いますが、例えば施設の巡回時に全方向の映像を録画するなどの用途で使えるかもしれません。
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