ポッドキャスト番組「セキュリティのアレ」が2021年度 総務大臣奨励賞を受賞──運営者のひとり、IIJ 根岸にインタビュー
2022年02月28日 月曜日
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こんにちは、IIJ Engineers blog 編集部です。
今回は、2021年度「サイバーセキュリティに関する総務大臣奨励賞(以下、総務大臣奨励賞)」を受賞したポッドキャスト番組「セキュリティのアレ」の運営者のひとりであるIIJの根岸に今回の受賞について話を聞いてきました。
「総務大臣奨励賞」&「セキュリティのアレ」ってなに?
受賞の話を聞く前に、まずは今回の受賞概要を簡単に紹介します。
- サイバーセキュリティに関する総務大臣奨励賞とは?
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- 総務省が、サイバーセキュリティ対応の現場において優れた功績を挙げている個人・団体を表彰するもので、2017年に創設。
- 自薦または他薦で候補者を募集し、有識者で構成される選考委員会の審査結果を踏まえ受賞者が決定され、毎年、サイバーセキュリティ月間の期間中に表彰が行われます。
- ポッドキャスト番組の「セキュリティのアレ」
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- SBテクノロジー株式会社の辻伸弘氏、セキュリティリサーチャーのpiyokango氏、IIJセキュリティ本部セキュリティ情報統括室長 根岸征史の3名がパーソナリティを務める、日本初のセキュリティ専門ポッドキャスト番組。2011年2月にスタートし、毎月、数本の番組が配信されています。
- パーソナリティの3人が、各々専門的な立場から日々発生する国内外のセキュリティインシデントや攻撃手法の最新情報、セキュリティ関連の時事情報、新しいセキュリティ技術などを分かりやすく紹介しています。
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- 2021年度の総務大臣奨励賞を受賞しました。
- 受賞理由
- 当番組の配信を通じて、セキュリティエンジニアや研究者、様々な組織のセキュリティ担当者、セキュリティの世界を志す学生などに対し、サイバーセキュリティに係る国内外の最新の情報を、ユーモアを交えつつ、適時かつ平易に、継続的に提供することで、我が国のサイバーセキュリティの向上に多大な貢献をした。とのこと。
ポッドキャスト番組をはじめたきっかけ
──「セキュリティのアレ」をはじめたきっかけは何ですか?
根岸:最初はSBテクノロジーの辻さんと当時ITmediaに所属していた編集者の宮田さんが2人ではじめられて、私はゲストとして何度か出させてもらうかたちでかかわっていました。その後、2015年の秋に、ITmediaから動画コンテンツを作りたいという依頼があり、「セキュリティのアレ」というタイトルで20分の動画+解説記事の連載を1年間やっていました(※1)。この時は、辻さんと私がメインで宮田さんが司会というかたちでやっていました。連載が終了した後、2017年の春ごろ、活動を休止していたポッドキャストを辻さんと私で「復活させようぜ!」となって再びはじめることに。piyokangoさんは最初の1年はゲストで登場していましたが、2年目からレギュラーになって、今では3人がメインパーソナリティーとして番組を運営しています。ちなみに、piyokangoさんは平成29年度の総務大臣奨励賞を個人で受賞されています(※2)。
- (※1)https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/subtop/features/ait/are.html
- (※2)https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin10_02000038.html の別紙4:https://www.soumu.go.jp/main_content/000486757.pdf
──視聴数(配信の再生回数)はどれくらいあるのですか?
根岸:実は全然把握していないんです。現在、Web から直接だけでなく、Apple・Google・Spotify、Amazon などのアプリからの視聴もあり、集計もしていないのでよくわからないんです・・・(笑)。もともとセキュリティに詳しくない人にもセキュリティの話を少しでも届けたいという思いで、仕事とは別にはじめた活動というのもあって、全然その辺は気にしていないですね。ただ、コロナ禍で配信を月1回から週1回に増やしてからの方がSNSでの反応が増えたように思います。
受賞の感想
──受賞の話が届いたときの率直な感想は?
根岸:嬉しかったですね。ポッドキャストで団体として受賞できるとは全然想像していなかったのでとても驚きましたが、こういう活動を認めてもらえたことが率直に嬉しかったですし、これをきっかけに聴いてくれる人が増えるとさらに嬉しいですね。最近は、番組へのご意見や感想の他に、番組のおかげで──というお礼のメッセージをいただくこともあって、誰かの役に立っていると思うと、とても励みになっています。
──今後の野望を教えてください。
根岸:野望というわけではないですが、続けられるかぎりは続けていきたいと思っています。また、もっと多くの人に聴いてもらうために何かできたらいいなーとは思っています。
──続けられるかぎり続けようって、すごい野望じゃないですか!
根岸:趣味(好き)で自分たちが楽しいからこそ続けられるというのはありますよね。なんだかんだ収録や編集などに時間がとられるので、こういうのは好きじゃないと続かない。この番組は、土曜日の夜に3人で2時間くらいかけて収録して、日曜日に私が編集しているんです。1時間の番組でも、編集には地味に5・6時間くらいかかります。個人的にもともとポッドキャストを聴くのが好きで、海外のセキュリティのポッドキャストやテック系の番組なんかをよく聴いていたのですが、聴き辛い番組って途中から聴かなくなってしまうんですよ。なので、編集では声が重なって聴き苦しいところや同じようなことを繰り返している部分を細かく編集して、できるだけ聴きやすくなるように心がけています。
ただしゃべって終わりではなく、聴いてもらうための工夫もしているんですね。
普段の活動
──普段はどんな活動をしているんですか?
根岸:IIJでは、CSIRT(シーサート)という日々起きるセキュリティに関する事件・事故に対応する組織に所属していて、IIJ の設備で発生した事件の発見、解析をしたり、セキュリティ関連情報の収集、分析、展開、インシデントハンドリングなどを行っています。対外的な活動としては、講演を年に20回くらい行っています。定期的に出ているのはITmediaとマイナビでコミュニティからの依頼もあればやっています。また、Hardening Projectや OWASP Japan、定点観測友の会などの様々なコミュニティ活動にも参加しています。アナリストとして注目している主なジャンルは、DDoS攻撃やIoT ボット、あとは暗号資産関連も興味があってずっと調べています。
──非常に個人的な質問になるのですが・・・個人的な探求心で動いている部分と仕事としての活動、どのように区別していますか?
根岸:私自身は、仕事と個人を区別しないタイプで、全部楽しいからやっているので、たとえ仕事が終わった後でも、土日でも、年末年始でも、事件や事故があれば個人的に調べたくて調べちゃいますね。私の場合、個人的な探求心の延長に仕事がある感じです。個人的に興味があって取り組んだことが仕事につながったり、今回のポッドキャストは趣味でやっていますが、そこで話している内容は仕事で得た知識や情報だったりと、仕事と個人がいろいろつながっていて区分が無いんです。私は「たまたまこういうタイプ」ですが、たぶん一緒にポッドキャストをやっている2人も同じようなタイプで、たまたま同じようなタイプが3人そろったからこそ、ポッドキャストも楽しく続けられているのかもしれません。
「楽しいからやっている」というのがインタビューを通してとても伝わってきて、ポッドキャスト番組「セキュリティのアレ」の裏側を垣間見ることができました。今日はどうもありがとうございました。
番組情報
最後に、今回受賞したポッドキャスト番組の紹介をして終わりたいと思います。
番組名 | 『セキュリティのアレ』 |
視聴方法 |
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パーソナリティ |
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セキュリティに詳しくない私ですが仕事の合間に楽しく聴いています。セキュリティ情報はもちろん、3人の掛け合いが絶妙です。まだ聴いたことのない人はぜひこの機会にご視聴ください。