「東京・春・音楽祭」ライブ配信 2022レポート(IIR vol.56 2章)
2022年09月30日 金曜日
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IIR vol.56 第2章では「『東京・春・音楽祭』ライブ配信 2022レポート」をお届けします。
「東京・春・音楽祭」は、年に一度、上野に点在する音楽堂や博物館など様々な施設を会場として行われている国内最大級のクラシック音楽の祭典です。IIJでは2021年から本イベントのライブ配信を担当しています。今年は、ほぼすべての公演(14会場60公演)をライブ配信しました。
本レポートでは、配信構成の決定までのプロセスや活用したIP技術の説明に加え、現地作業の苦労話などを織り交ぜながらライブ配信の舞台裏を紹介します。
本報告のポイント
- 少人数・低コストでライブ配信を実現
- 2020年以降、コロナ禍で従来通りの鑑賞が難しくなった音楽祭は、現地での鑑賞と併せてライブ配信をはじめました。IIJが初めて配信に携わった2021年は、およそ1カ月間で14会場から60の公演を配信したのですが、機材・スタッフ含め、とても大がかりなものとなりました。そこで、同規模で開催される今年の音楽祭の配信は、ライブ配信の構成を見直すことで、従来に比べて少人数・低コストでのライブ配信を目指しました。具体的には、現地から中継を行う一般的な配信構成から、遠隔にある配信センターから中継作業を行う「リモートプロダクション」に切り替えることで、現地スタッフの人数・作業工数を大幅に削減しました。併せて、昨年まで1会場につき複数台持ち込んでいたカメラを1台に絞るなど、現地の機材も大幅に減らしました。結果的に、ストリーミングチケットの価格を昨年に比べて低く抑えることができました。
- 少人数・低コストなライブ配信を実現すると同時に、視聴者の利便性が損なわれないよう、プレイヤー側でズームと視点移動の機能を実装したり、字幕のON/OFF機能をもたせるなど、利便性向上を図りました。また、リモートプロダクションよって生じる新たな課題「離れた場所にいるメンバー同士の意思疎通の難しさ」は、チャットツールを用いたコミュニケーション手段を構築し円滑な意思疎通を目指しました。
- ライブ配信の構成
- カメラはリモート操作が可能なPTZ(パン・チルド・ズーム)機能を有したPanasonic社の4Kインテグレーテッドカメラ「AW-UE100K」とPTZ機能にジョイスティックを搭載したコントローラー「AWーRP60G」を用い、現地ではなく配信センター(IIJ本社)から操作することで現地の稼働を削減しました。
- 映像伝送する本線(4K伝送)には、ネットワークの一元管理と統合運用を実現する「IIJマルチプロダクトコントローラサービス」を用い、フレッツ光ネクストIPv6折り返しを利用してL3VPN網を構築しました。
- 映像の解像度とフレームレートは4K30pとしたが非圧縮だと6Gbpsに及ぶためH.265で約30Mbpsに圧縮しSRTというプロトコルでIIJ本社へ送出しました。
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動画で解説
今回の配信を行った筆者二人がレポートについて分かりやすく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。