IIJ Bootcamp 2023開催報告 – ハンズオン研修を5年間続けて見えてきたもの

2023年12月12日 火曜日


【この記事を書いた人】
藤本 椋也

IIJ プロダクト本部 応用開発課 所属。2015年に新卒入社。webアプリケーションの実装・運用を中心にやりたいことがあれば何でも手を出してみる所存です。

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IIJ 2023 TECHアドベントカレンダー 12/12の記事です】

はじめに

毎年IIJでビギナー向けに開催している「IIJ Bootcamp」、2023年度も無事開催することができました。
有志の皆様本当にありがとうございます。

今回はIIJ Bootcamp 5年目の開催報告ということで、ハンズオン研修を5年間開催して手慣れた部分、まだまだ難しい部分、それぞれ紹介していきたいと思います。

参考:これまでのIIJ Bootcamp

2023年度研修資料

研修資料は以下のページに公開されています。一部は非公開となっていますが、大半はCC BY-SAで公開しています。
ぜひ学習や研修等にご活用ください。

https://iij.github.io/bootcamp/

今年度はカリキュラム一覧に大きな変更はありませんでしたが、講師の交代等によって細かい変更が行われています。

  • CI/CDからdrone.ioが削除され、GitHub Actions一本に変更
  • MySQLの講義がPostgreSQLになり、タイトルも「リレーショナルDBを触ってみる」になっている
  • フロントエンドアプリのOverviewを短めに、素のJavaScriptとDOM操作に重点を置く

IIJではCI/CD環境として、徐々にGitHub Enterprise Serverに含まれるGitHub Actionsの利用が増えています。Bootcampとして1講義でdrone.ioとActionsの両方は難しかったため、今後のことも考えてGitHub Actionsに絞ることにしました。

MySQLからPostgreSQLになったのは単純に講師の方の経験上教えやすかったためです。DBカテゴリはRDB/NoSQL/Redisの3本を経験してもらうようになっており、RDBのエッセンスが学べれば製品は問わない考え方をしています。逆に「MySQLとPostgreSQLを両方」は講師側・受講者側双方にとって費用対効果が悪く、どちらかに絞るというバランス感覚でカリキュラムを設定しています。

5年間続けてきての所感

こなれてきたところ

事務的なところ

Bootcampでは受講者にとって参加しやすい研修にするため、社内Confluenceのポータルページ、Teamsのコミュニケーションスペース、社内イベントシステムなど各種整備を行なっています。流石に5年目となると、事務的な作業としてやることが固まってきます。

しかも今年度はありがたいことに上記作業を自動化するツールを作っていただきました。社内コミュニケーションツールの変遷に合わせて変えていかないといけない部分もありますが、概ね安定してきたように思います。

リモートによるハンズオンのコツ

毎年開催される20〜30のリモートハンズオンで受講者の反応を見ていると、「身になりやすいハンズオン」にするためのコツが見えてきます。
自分の中の結論としては、「講師が話す時間 < 受講者が手を動かす時間にする」こと、「受講者が手を動かす -> 講師が語るの順番を守る」の2つがハンズオンのコツだと考えています。

前者は当たり前に思われるかもしれませんが、リモートという受講者の様子が見えない沈黙の中で、手を動かす時間を多く取るのはなかなか勇気がいることです。それでもやはりハンズオン研修と銘打っている以上、ここは強く意識していきたいところです。

後者はある程度ケースバイケースなところはあるのですが、人間は基本的に一切触った事のない技術について説明されるよりも、分からないながらもコピペで動かした経験がある技術について説明された方が身になりやすいかと思います。
ハンズオン研修はまさに「分からないながらもコピペで動かした経験」を積んでもらうためにあり、その上で中身について深く語ってもらうのが最適な流れではないかと考えています。

2つのコツを合わせると各ハンズオンは

  1. これからやってもらうことの簡単な説明(1〜2分)
  2. 作業・個別質問時間(20分前後)
  3. 内容の解説(5〜10分)
  4. 次のテーマへ

という時間配分と流れが目安になるでしょうか。今後はもっとこれを意識したハンズオンにしていきたいと思います。

ただ全部の講義を型に嵌めてしまうのも面白くなく、題材によっては別の最適があったりもするのが難しいところです。

まだまだ難しいところ

ハンズオン環境

ハンズオン研修を行うにあたって一番のハードルが環境の整備です。ここに関しては若干諦めの境地に至りつつあります。

ターゲットの大部分がIIJのnew commerということで、想定環境は最初に配られるWindowsのノートPCにほぼ絞れます。ただしDocker Desktopは有料ライセンスが必要なため研修環境には向きません。
この状況で恐らく一番マシな環境は「WindowsのWSL2にlinuxをインストールし、Dockerを動かす」選択肢であり、受講者にはこちらをメインで案内しています。
ただWSL2自体がある程度複雑な技術であり、そもそも初心者に概念の説明が難しいこと、社内proxyやVPNとの相性問題、DNS周りの思わぬトラブルにはまるなど悩みは尽きません。

2番目の選択肢として社内に存在するVMware環境払い出しシステムも案内しました。WSL2絡みのトラブルもなくトラシューもやりやすいのですが、vCenterアカウントを払い出して自分でセットアップする方式なので、複雑な社内フローと相まって全員にやってもらうには少々ハードルが高いです。
また細かいところですが、資料中の「localhost:8080にアクセスする」が軒並み混乱を生む要因になってしまうのも悩みの種です。

Jupyter Notebookのような環境を社内クラウドに立てて、セットアップ不要で研修に望んでもらう方式も検討しており、実際JavaScript系の講義はCodeSandboxなどで行われています。
ただ全ての講義がJupyter Notebook上で行えるわけではないこと、また開発の実務に使える環境ではなく、自分のPCに開発環境を構築する経験がなくなることが無視できない要素となっています。

受講者のターゲットをどこに置くか

受講者を大雑把に「IIJの技術系新入社員」としたところで、各自の得意不得意やバックグラウンドは千差万別です。
資料をどこまで親切に書くか、質問に対してTAはどのようなスタンスで接すれば良いのか、まだこれといった指針が定まっていません。

IIJ Bootcampは「広く浅く」がテーマであり、各講義は技術の触りしか扱えません。そういった意味で初心者向けの研修と位置付けており、「全員が同じところまで行けるように手を尽くす」が基本スタンスではあります。しかしだからといって際限なくサポートし始めるとボランティアである講師やTAの負担となり、継続性が失われてしまいます。負担にならない形でどうすれば全員をケアできるのか、明確な指針と方策を考えていくのが今後の課題です。

最後に

5年目となり、IIJ Bootcampもふとすると「こなれた活動」としてドライかつ事務的な活動になりがちな時期かもしれません。
継続性という意味では正しいのかもしれませんが、ある意味エンジニアの熱量を伝える活動である以上、最初の想いを忘れず来年度以降も頑張っていきたいと思います。

IIJに入社される方、入社を少しでも検討されている方、IIJ Bootcampで心よりお待ちしております。

関連リンク

2023年度のIIJ Bootcampより、一部を抜粋した動画もYouTubeで公開しています。
よろしければこちらもあわせてご覧ください。

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藤本 椋也

2023年12月12日 火曜日

IIJ プロダクト本部 応用開発課 所属。2015年に新卒入社。webアプリケーションの実装・運用を中心にやりたいことがあれば何でも手を出してみる所存です。

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