ネットワーク・オペレーターが初めてJANOGに参加してきました

2024年08月13日 火曜日


【この記事を書いた人】
chikaba

専用線Transit系サービスの導入構築から運用保守を担当するネットワークエンジニア。誕生日には毎年必ず流星群が降り注ぐ。

「ネットワーク・オペレーターが初めてJANOGに参加してきました」のイメージ

IIJ Engineers Blogをご覧の皆さま、日頃からご覧いただきありがとうございます。
今回初めてBlog記事を任されましたchikabaと申します。
普段はインターネット接続サービスやマネージドルータサービスの構築/導入や運用保守、お客様サポートを担当しています。

先日2024年7月3日(水)から7月5日(金)の3日間、奈良県で日本国内では大規模と言っても過言ではないイベントが開催されました。
「JANOG (読み:ジャノグ)」です。
今回は私自身がネットワークの仕事をしておきながらこのJANOGに初めて参加し、肌で感じたことをお伝えしていきます。

 

そもそも「JANOG」とは??

全世界の各地域にはインターネットの向上を目的としたエンジニア(ネットワーク・オペレーター)の集まりがいくつもあります。
その中でJANOGは日本におけるネットワーク・オペレーターズ・グループの総称で、「JApan Network Operators’ Group」の頭文字からこのように呼ばれています。

JANOG Webサイトはこちら(外部サイトへ移動します。)

開催の歴史はインターネットの発展と合わせるように1997年から続き、夏と冬の年2回のスケジュールで開催されています。
今回は正式ナンバリング(※1)としては54回目の開催となりました。
(※1: 年2回の他、番外編として「0.5」ナンバリングや「+(プラス)」といったタイトルで開催されることもあります。)

日本のネットワーク・オペレーターたちが一堂に会することから、インターネットの技術を議論/検討することはもちろん、近年ではこの場の交流をきっかけに新たなピアリング調整が行われ、さらに日本のインターネットが拡大/進歩していくといった例も珍しくありません。

過去の開催や具体的なイベントの詳細については上述のJANOG Webサイトをご覧ください。

JANOG参加のきっかけ

さて、少しばかり私自身が参加するきっかけとなったお話にお付き合いください。

私自身の通常業務は、お客様とのお打ち合わせやお電話/メールでのやり取りこそ行っていますが、基本は内向きな業務が中心です。
そんなある日、自部署の食事会で転機が訪れます。

その食事会は諸事情で途中から参加したのですが、その時にはお酒が進み、すでに場が出来上がっていました。
たまたま空いている席はマネージャーの方々が座るテーブル。
ふらっと席に着くと突然……
「このままくすぶっていてはもったいない!!  外に発信していけ!!」
……とご指導をいただきます。

そこで私はふと言ってしまったのです。
「そういえば2週間後にJANOGがありまs…」

確か全部言葉は言い切っていなかったと思います。
被せるように「良いよ!! 行こう!!」と参加の許可をいただきました。

着席、乾杯、出張確定

その間わずか3分。ウルトラな巨人が地球を守るほどの速さで決まりました。
本件はこれよりウルトラの出張と名付けることにします。

いざJANOG54へ

そうこうしているうちにウルトラの出張は当日を迎えます。
今回の会場は奈良県コンベンションセンターで、近鉄奈良線の新大宮駅からのアクセスが便利です。

新大宮駅ではJANOG54へ参加するオペレーターたちを歓迎する幕がところどころに用意されていました。
主催メンバーだけでなく、街をあげて歓迎してくれているような演出で「やってきた!!」という高揚感を高めてくれます。

JANOG54でIIJは「わかくさ」カテゴリーで協賛参加しており、会場には会社ロゴをあしらった幕も飾っていました。
また、会場部屋名のネーミングライツもいただき、「IIJホール」と称した会場もありました。

到着して受付を済ますと、まずは「企業ブース」が広がります。
参加されている各企業の皆さまが「これなら誰にも負けない!!」といった自慢の自社製品を紹介してくれます。
普段であればカタログやWebページでしか紹介できない製品もご紹介いただくこともあり、百聞は一見に如かずとはまさにこのことです。

また、業界でよくお話を伺う有名人な方や、過去にやり取りをさせていただいたお客様とふらっと会場ですれ違いご挨拶をさせていただく等もありました。

「あれ、○○さんですか?!」「わー、こんにちは」という突然の会話から名刺交換。
少し世間話をした後、また新しい人が横を通り、「おー、○○さんご無沙汰しております!!」と名刺交換。

3分でコロコロと状況が切り替わります。
これが世に噂される「ウルトラの名刺交換」です。

開催される様々なイベント

会場では企業ブースや講演プログラムの他、ランチ会やBoF(※2)も開催しています。
(※2: Birds of a Feather の略称で、特定のテーマに対して興味関心がある方々が集まり議論する場です。)

今回は数あるイベントの中から、実際に参加した「ランチ企画 わいわいつながり会」をご紹介します。

軽食と一緒に番号の書かれた紙を渡され、その番号の席に座って周りの人と会話を楽しむシンプルな企画です。
席周辺の4名で1グループとなり、それぞれ質問し合うも良し。
テーブルに置かれた紙にトークテーマが書かれているので、これを基に話すも良しです。
また、1枚の紙に番号は2つ書かれており、途中で一度席替えタイムがあります。
1回目の会話を楽しんだ後、別の番号の席へ移動し2回目の会話をするという形の1時間でした。
何より嬉しいのが昼食の提供です。美味。

部屋へ入り周りの方へご挨拶を済ませた後、全体アナウンスでルール説明や企画者の皆さまの自己紹介のお話を伺います。
このランチ会、企画者の方は学生さんが多く、司会進行も学生の方でした。
老若男女が集まる場でしっかりと企画を行い、堂々と前に出て話す姿は素晴らしかったです。
世間ではZ世代と括られることもあるようですが、間違いなくこれからを担っていく「ウルトラの世代」でした。

さて、1回目の会話が始まります。
1組目は私を含め社会人が3名と学生さんが1名でした。
東北地方からわざわざ奈良県へやってきたという学生さんに対し、行動力のすごさに圧倒される社会人3人組…。
それと同時に「学生さんだと費用負担が大変なのでは…??」という話題になりました。

実はJANOG54の素晴らしいプログラムの1つに「若者支援プログラム」というものがあります。
これは今後のネットワーク業界を担う若い世代の方々に、現場や業界の方々と多く触れ合っていただき、ネットワークの未来を開拓してほしいという思いのために実施されたプログラムです。
早い話、学生さんのJANOG参加に必要な費用を支援してくれたということです。
なお、本プログラムは賛同企業からの援助を通じて「一般社団法人IPネクスト育成協会」が賄っており、プログラム参加には事前の申請が必要です。
加えて、応募者すべてが対象となるわけではありません。

ひとしきり会話を楽しんだ後は席替えからの2回目です。
席替え後に隣へいらっしゃった方へ名刺をお渡しするとすぐに「うわっ!!」と驚かれてしまいました。
話を伺うと、これは「IIJの人はすごい」という意味でのリアクションだったようです。
それを聞いて少しばかりニンマリとしてしまいましたが、こういったリアクションをいただけるのは過去から現在で諸先輩方や後輩、仲間たちが努力を積み重ねてきて得た実績であるということを忘れてはいけません。
仲間たちの努力と、それによってナイスリアクションをしてくれたお隣様、ありがとうございました。とても良い気分でした。

1時間もあっという間で、大変和やかにランチ会に参加し楽しむことができました。
改めて、企画をしていただいた方々、人生の貴重なお時間に私との会話をご一緒していただいた参加者の皆さまへ最大限の感謝をさせてください。

懇親会へ

JANOG54の2日目夕方にはJANOG主催者の方々による懇親会が開催されました。
しかし、私は今回「ウルトラの出張」ですので、JANOG公式の懇親会は間に合わず、代わりにIIJの営業が主催しお客様をお招きした食事会へ参加しました。
まず初めに、お忙しいところIIJの懇親会へご参加いただきましたお客様ご担当者様につきましては、改めてお礼を申し上げます。

懇親会の参加者は当然ながらネットワーク・オペレーターの方々が中心です。
しかし、話題は技術的な内容だけとは限りません。
例えば私はお客様サポートを担当していますので、そういったお問い合わせに対する対応や、日頃からの運用保守をどういった形で行っているのかといった内容でお話を聞かせていただきました。
インターネットが生活インフラとして市民権を得たことと引き換えに、「止まると困る」といった状況が生まれ、それによりどの企業様でも「どうすれば安定して運用できるのか」が非常に大きく、時に頭を抱える課題になっています。
また、技術が難しくなるにつれて人材の育成をどうしているといったお話や、失敗を恐れるよりもリカバリーを大切にするといったお話も非常に面白かったです。
ひとしきりの会話の最後に「もし機会があれば、今後のインフラ運用を考えるBoFができると良いね」とお話しましたが、私自身はわりと前向きですので、もしこの記事をご覧いただいて興味がある方はぜひご連絡ください…。(笑)

最後に

今回のJANOG初参加で得られた体験は、私自身にとって非常に大きなものとなりました。
これはインターネットの技術に触れただけでなく、人との接して得られた思いや、過去/現在/未来でつながっていく信頼など……ここまで書いてはみたものの、やはりあの場あの時の熱はどうしても文字だけでは伝わりません。
もしもこの記事を読んで少しでも面白そうだと感じた方は、ぜひ次回以降のJANOGに参加してみてください。
「このままくすぶっていてはもったいない」ですよ!!

さて、次回のJANOG55は京都府京都市を会場に2025年1月22日(水)から24日(金)の3日間で開催されます。
さらに来る来年2025年7月30日(水)から8月1日(金)に島根県松江市で開催予定のJANOG56は弊社IIJがホスト(主催)を務めます。
ネットワーク・オペレーターの方はもちろん、参加される方全員が有意義な時間となるよう絶賛準備を進めていますので、是非とも会場へ足をお運びください。

奈良観光写真

chikaba

2024年08月13日 火曜日

専用線Transit系サービスの導入構築から運用保守を担当するネットワークエンジニア。誕生日には毎年必ず流星群が降り注ぐ。

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