北海道からモバイル回線でライブ配信 ~空知スマートアグリシンポジウム2021~

2022年02月17日 木曜日


【この記事を書いた人】
今西 亮太

IIJのコンテンツ配信事業やグループ会社のJOCDNやIIJエンジニアリングに所属。CDNサービスの運用保守以外にもイベントで現場からライブ配信作業や動画編集などやってます。にじさんじ所属の星川サラが大好きなエンジニア。

「北海道からモバイル回線でライブ配信 ~空知スマートアグリシンポジウム2021~」のイメージ

挨拶

気が付くとIIJエンジニアブログも4回目の投稿となる配信チームの今西亮太です。

今回もザックリとした内容ではありますが、ライブ配信に関するお話ができればと思います。

 

概要

2021年12月08日(水曜日)に開催した「空知スマートアグリシンポジウム2021」のYouTubeライブ配信をする為に、北海道へ出張に行きました。(飛行機が好きな私としては、出張での飛行機利用は初なのでワクワクしてました。)

※空知スマートアグリシンポジウム2021の記事はこちらをクリック

今回は現地で有線のインターネット接続が無い中で、Zoomからリモート出演と現地出演を組み合わせたイベントをYouTubeでライブ配信しましたのでご紹介いたします。

 

IoT事業部からの依頼

イベント開催の3ヶ月ほど前に社内コミュニケーションツール(Teams)でスマート農業に関するシンポジウムを北海道で開催したいから配信の協力をしてもらえないかと相談をいただきましてリモート会議で詳しくお話を聞く事になりました。

配信チームとしては、過去にもホールでのライブ配信経験があるので依頼の難易度は高くないと感じていました。

しかし、配信をするには幾つかの懸念点もありましたので会議の中で下記の点を確認していただくようお願いしました。

  1. インターネット回線(会場設備 or フレッツ開通)の準備は可能か
  2. ホールの詳細なサイズ(ケーブルの長さを決めるため)
  3. 配信ブースを作るためのスペース確保はできるか
  4. 会場設備の一覧と利用する設備の型番
  5. PA設備の利用とオペレータ手配を会場側で可能か
  6. 講演者の利用するPCの出力端子をHDMIに統一する事は可能か
  7. JITBOXの手配と現地受取の調整
  8. 会場指定の搬入経路と養生方法の確認

配信チームからの質問事項は、後日チャットにて回答をいただき概ね問題は解決しました。

 

開催1週間前にトラブルで緊急会議

急遽チャットで相談がしたいと言われ「ネットワーク検討mtg」と書かれたスケジュールが追加されました。

内容は事前に確認していたインターネット回線(フレッツ)の開通が申請の遅れにより間に合わないというものでした。

そもそも配信チームは懸念事項としてインターネット回線の調達ができない場合も想定していたので内心「ダメだったのねw」ぐらいにしか思いませんでした。

そこで代替手段としてモザイル(弊社開発のルータ「SEIL」にモバイル回線を組み合わせた社内用語)とLiveU(複数のモバイル回線を束ねて高品質な映像伝送を行う装置)での配信を準備しました。

▼実際に会場で設置したモザイルとLiveU▼

配信構成

以下の図は今回の配信で使用した構成となります。

※図にはホール内へ音声(会場マイク+Zoom音声)の返しが記載されていませんが、ホール設備で対応しています。

 

今回はホール内での設営時間が1時間しかない事もあり、ホール内を通す長距離のケーブルを極力減らしたいといと考えました。

そこでステージとカメラエリアのスイッチはLANケーブル1本で繋ぎ、カメラエリアと調整室はファイバー1本とSDIケーブル1本で繋ぎました。

この時にファイバー1本で全てNDI(IPを活用した映像や音声などをリアルタイムで伝送可能にするプロトコル)によるスイッチャーへの映像伝送も可能でしたが、観客席にファイバーを通している事もありファイバーが折れてネットワーク断などのリスクを考え1本だけはSDIケーブルでカメラとスイッチャーを接続してカメラに人を付け有人でのオペレーションを実施しました。

なお、その他のカメラはリモートカメラを使用して調整室に設置したコントローラからリモートコントロールしていました。

また、プロジェクタ設置位置の確定が遅れていた事もあり、配信構成確定後にどこにでも設置位置の変更をおこなえるようNDIを使用した事でLANケーブルが繋がるステージや観客席中央や後方など対応可能な構成としました。

▼観客席中央に設置したカメラ4台▼

▼調整室での映像制作▼

 

おまけ

▼配信チームによる機材搬入時の様子▼

 

最後に

入社して最初の出張配信は2016年の仙台でした。

その頃はエンコーダだけ持って現地に行き映像と音声は外部業者からいただくだけでした。

しかし、コロナ禍で配信需要が高くなりイベントが配信メインとなった事で、今まで以上に配信での見せ方など撮影方法にまで多くのリクエストをいただく事が増えました。

そして、リクエストに応えるには外部業者の利用ではスピード感を持って柔軟に対応ができないと考え全て社内の配信チーム(チーム名:メロンパン工房)で対応できる体制を整え、過去には大阪や名古屋などでの出張配信を何度も成功させ高い評価をいただいています。

今回の北海道岩見沢市からの配信では今までの経験にプラスしてIPを活用した新しい方法も取り入れた事により、大きな会場でも3人の配信チームで乗り切る事ができました。

今後も多くの経験を活かしてIIJグループの配信事業に関する品質を高めていければと思います。

 

リンク

 

執筆者Twitter @ryota_imanishi

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今西 亮太

2022年02月17日 木曜日

IIJのコンテンツ配信事業やグループ会社のJOCDNやIIJエンジニアリングに所属。CDNサービスの運用保守以外にもイベントで現場からライブ配信作業や動画編集などやってます。にじさんじ所属の星川サラが大好きなエンジニア。

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