EdgeTech+2022出展企業に聞く! SEMTECH社とIIJが考える、日本のLoRa®の未来 Part3

2022年12月07日 水曜日


【この記事を書いた人】
藤井 俊平

2021年に営業としてIIJに入社。翌年にIoT事業部のプロモーション担当に転属し、現在に至る。珈琲、読書、喫茶店・バー巡り、古着、アニメ・映画鑑賞、ゲームなどなど割と多趣味。写真撮影もガッツリやっていて、そのうち個展 or グループ展を開きたいと思ってます。

「EdgeTech+2022出展企業に聞く! SEMTECH社とIIJが考える、日本のLoRa®の未来 Part3」のイメージ

本ブログは、先日公開のブログ

の続編記事となっています。今回は人工衛星を活用したLoRa®の実情や、LoRaWAN®の認知を日本で広めるこれからの動きについてうかがいました。
またPart1から続くこのブログシリーズも最後になります。

  • 植松健太郎
    • セムテック・ジャパン合同会社 ディレクター 事業開発
      • LoRa® Japan Task forceのチェアマン。今回の対談ではリモート参加。
  • 玉井洋平
    • セムテック・ジャパン合同会社 技術統括課長
      • LoRaWAN®黎明期に、セムテック・ジャパンにLoRa®関連の取り組みに携われる。
  • 高根澤貴之
    • セムテック・ジャパン合同会社 技術担当課長
      • 無線のスペシャリスト。第1級陸上特殊無線の資格をお持ちとのこと。
  • 寺井優太
    • 株式会社インターネットイニシアティブ
      IoTビジネス事業部 技術部 プロダクトソリューション課 リードエンジニア

      • LoRaWAN®を使ったIoTソリューションの企画・推進及び提案・導入支援を担当

日本国内での衛星LoRa®

IIJ寺井:人工衛星にLoRaWAN®ゲートウェイを搭載する話は、ヨーロッパなどでは既に衛星がいくつか打ちあがっていて、技術検証が始まっている段階だと思いますが、日本でも参画しようとしている企業はあるのでしょうか?

SEMTEC植松:既に数社の事業者様とお話をさせていただいていて、何台かの人工衛星にゲートウェイを載せて宇宙に送るというプロジェクトが進んでいる状況になっています。
ただ、日本の上空のサービスに関しては、私が総務省さんとの話し合いを頑張らないといけないかなと思っています(笑)

IIJ寺井:法令も絡みますので大変なところですよね(笑)

Semtech植松:日本の国土という所で見ると、横方向に進んでいるデータが縦方向に送るというだけで、総務省さんとしてはセンシティブになってしまうような状況なんです。そういった部分をもう少し柔軟に考えていただけるようにアプローチしていきたいところですね。

IIJ寺井:人工衛星がLoRaWAN®ゲートウェイとなれば、例えば砂漠の真ん中に立てた環境センサーや、海上に出た船の中のコンテナに設置された温度センサーのデータを受信するなど、物理的にゲートウェイが設置できなかったり、設置できてもネットワークへの接続が難しい場所でのセンシングなどができるようになり、今まで以上にユースケースが広がると思いますが。

Semtech植松:おっしゃる通りですね。結局地球の90%は物理的にも経済的にもゲートウェイを立てられない場所がほとんどなので、そこをきちんとマネージメントしていくことが、今後SDGsや地球環境保護、持続可能な社会にしていく上で必要なファクターだと認識を持っているのが海外の人達ですね。
人が住んでいるエリアに対するスマート化における、通信プロトコルのデファクトスタンダードとして挙げられるのが、5G・4GLTE・Bluetooth・LoRaWAN®という形になっていますが、日本はまだそこの認知が進んでいないというのはあると思います。

LoRaWAN®ブランディングのこれから

IIJ寺井:LoRaWAN®交流会(月1回LoRaWAN®の取り組んでいる企業が10社ほどが集って行っているミーティング)でも、日本でのLoRa®周りの認知度の低さは話題に出ていましたよね。
日本のマーケットでは、じわじわと存在感が出てきているとはいえ、LoRaWAN®のトレンドや技術情報はまだまだ日本向けに分かりやすく公開されていない、というか情報が少ないと感じる部分もあるのですが、この辺りについてはSemtechとして今後何か戦略はありますか?

Semtech植松:戦略という形で構築しているものではなくて、実際にアクションを起こしているものにはなるのですが、少なくともLoRa Aliance®という名前で、ちゃんと日本でもブランディングできるような仕組みは作らないといけないという認識は持っています。まずは日本語のホームページを作ったり、法人格を持たせてやっていこうという話はあるんですが、Bluetooth SIGや無線のWi-Fiアライアンスのようにたくさん集金をして運営するような組織とは違いますので、予算の兼ね合いも含めて、LoRa Aliance®本体側と協議しているところです。
ただ我々としてもLoRaWAN®の認知度を正しく伝えるのは義務だと思っていますので、伝えるための手段として今回のような対談インタビューやメディアに出たりといった所は引き続き力を入れていきたいと考えています。

IIJ寺井:IIJでも今回インタビューを含めたブログや、ホームページ、導入事例など日々LoRaWAN®の情報発信を行っていますが、やはりLoRa®Allianceの日本向けサイトに情報が集約されていることが市場を活性化するには必須だと思いますので、是非期待しています。
そのために我々IIJにできることがあれば一緒になってやっていきたいと思っています。

Semtech植松:そう言っていただけるパートナーさんが増えているということに対して、非常に嬉しく感じています。今まではそのようにお話いただける状況がない中でやってきたので、こうしてパートナーさんと一緒に組織立って動くことができるようになったというのはここ1、2年で進歩してきた点ではないかと思います。

SemtechとIIJ

IIJ寺井:弊社も含めて昨今はLoRaWAN®のパートナーが着実に増えている現状だと思います。その中で、Semtechが我々IIJに求めるものはどういったものがありますでしょうか?

Semtech植松:正直なところ、僭越ながら取り立てて言うようなことがないですね、我々ができないブランディング活動などもご協力いただいていて感謝している状況なので(笑)
逆に我々に対して何をしてほしいか伺いたいぐらいです。

Semtech玉井:昔の苦労話をすると、Semtech単体でLoRa®を売り込もうとしていた時はLoRa®という名前も浸透していなければ、Semtechって何の会社だ、という状態でした。今となっては強力なパートナーさんも増え、IIJさんのようなビッグネームがあることでお客さんへの信頼感もありますし、非常にいい流れが来ていると思いますね。

Semtech植松:そこはすごく大事で、IIJさんに対してはすごく安心感があるんです。展示会でも「こういうのありませんか」というのがあるとためらいなくIIJさんを紹介できる。そこは今までの積み重ねがあるからこその部分だと思いますね。
こうした関係性の中で我々としても、お客様に安心感をもってSemtechという会社を認識していただけると、ブランディングとしては良いことだと思っています。

IIJ寺井:そういっていただけますと、社内で企画推進をしている立場としては嬉しくもあり、プレッシャーでもありますね(笑)

改めて今回はインタビューの機会をいただきありがとうございました。
LoRaWAN®がSemtechのような世界有数のチップベンダーによって元々開発された技術であるということ、そしてLoRaWAN®が世界に着実に浸透しているということをブログ記事を通じて発信させていただければと思います。

Semtech植松:こちらこそ、今回のような形でお話できる機会をいただき嬉しい限りです。
今後ともよろしくお願いします。

まとめ

Semtech社対談企画、Part1~3の長編記事となりましたが、いかがだったでしょうか?

2022年11月16日~18日に開催されたイベント「EdgeTech+2022」に先立って企画された本ブログですが、思いのほかお話も盛り上がり、LoRaWAN®のトレンドからワールドワイドでの動向や最新技術まで盛り沢山の内容となりました。

もしPart1・2をまだご覧になっていないという方は、ぜひシリーズ通して見てみてください!

関連リンク

 

SemtechおよびLoRaは、Semtech Corporationの登録商標またはサービスマークです。

藤井 俊平

2022年12月07日 水曜日

2021年に営業としてIIJに入社。翌年にIoT事業部のプロモーション担当に転属し、現在に至る。珈琲、読書、喫茶店・バー巡り、古着、アニメ・映画鑑賞、ゲームなどなど割と多趣味。写真撮影もガッツリやっていて、そのうち個展 or グループ展を開きたいと思ってます。

Related
関連記事