白井市の田んぼでの実証実験 ~水管理から稲刈り~

2024年10月30日 水曜日


【この記事を書いた人】
hanamako

2018年より農業IoTに関わる。それまではネットワークエンジニアとして、MSのExpress Rourte や Googleの GCP接続、IIJサービスのSIに従事。自宅でいろんな作物の栽培にチャレンジ中。

「白井市の田んぼでの実証実験 ~水管理から稲刈り~」のイメージ

はじめに

IIJのアグリ事業推進部ではスマート農業を通じて地域の課題解決の支援をしています。
本ブログでは、前半は実証実験として白井田んぼで稲刈りをしたときの様子を、後半ではアグリ事業推進部のメンバーで、田植え後の水管理をしていく中で見えてきた課題を議論したのでその一部を紹介していきます。
こちらのブログでは6月の田植えの様子をアップしていますので是非ご覧ください。

稲刈りの様子

「農家さんがどんな苦労をしているか体験する」を目的に、アグリ事業推進部では白井市の農家さんの田んぼを借りて、稲作に取り掛かってきました。
水路に水がない状態の春先にほくつうの「水まわりくん」と笑農和の「Paditch Gate」2台の自動給水装置を設置工事を行いました。
稲作は田植え前の代かきから携わり、実りの秋の9/7に稲刈りを行ってきたのでそこでの様子をちらっと紹介します。

 

  • 4月の水路に水が来る前に、自動給水装置の設置作業をしました。

 

  • 5月初め、田植え前にトラクターで代かきをしました。
    トラクターはレバーがたくさんあり、音が大きく迫力がありました。

 

  • 5月の連休明けに田植えをしました。
    IIJのアグリメンバーが順番に田植え機に乗って、田んぼを1往復しました。ほくつうさんも一緒に作業しました。

 

  • 田植え後に水田センサーを設置しました。

  • 田植え後からIIJメンバーが1週間交代で、水田センサーの数字と定点カメラの画像を参考に、自動給水装置を開閉操作しました。
    実際の定点カメラの様子で、左に白く少しみえているのが自動給水装置です。⇓

  • 7月、千葉県内の高校からスマート農業の視察があったころには、稲も大きく育っています。

 

  • 9月には穂が垂れて、黄金色になりました。
    32℃でまだまだ暑さが残るなか、コンバインで稲刈りです。

 

  • コンバインで刈り取れない端は手狩り。収穫の喜びもひとしおです。

 

  • (代かき)トラクタ→(田植え)田植え機→(稲刈り)コンバインといろんな機械をつかうのですが(他に、ブームスプレーヤ、溝切りもある)、操作が複雑!
    機械の力は偉大です。

 

農業実証実験から見えてきた課題

アグリ事業推進部の全メンバーで田んぼの水管理をリモートで行いました。1週間交代で田植え直後から稲刈り直前まで水田センサーの値を見て、2種類の自動給水装置「水まわりくん」と「Paditch Gate」の開閉操作をしていました。
実際に自分で田んぼの水管理を行った経験を元に、「田んぼの水管理を通じて、農業者にとっての「IIJスマート農業システム MITHUHA」の利用価値を考えた場合に、どのような機能があればよいと思うか?」を議題に、
アグリ事業推進部で水管理の振り返りを座談会形式で行いました。ここでは座談会で出た意見を各担当部門ごとに紹介します。

※ホントは大きな発見・気付きがあったのですが、公開できるものに限定しています。
メンバーの水管理の経験を通じて実装した機能リリースを楽しみに待っていてください。

項目 意見
共通の意見 ①現地は定点カメラで撮影していたが、システムに慣れるまで、水田センサーの数字を頼りにしており、それが正しいのかわからなかった。
②土壌が均平でないので、どの水位がよいか感覚を掴むのがむずかしかった。
③自動給水装置を開いても水位が上がらず、そもそも水路に水が来ていないことが後に分かった。
システム開発者目線の意見 ①自動給水装置を操作をするのに、複数のアプリを操作するのが面倒だった。1つのUI(ユーザインタフェース)に統合するのが望ましい。
②次に担当する人が困らないように、田んぼや機器のクセ・どうしたらよいかわからないときの相談先・過去のトラブル履歴など細かに記載した引継ページを作成した。
デバイス開発者目線の意見 ①新しいセンサーのフィールド試験において、設置の課題・機器のクセ・測定精度などを掴むことができた。
②定点カメラを設置していたが、全体の様子をみるところまではなかったので、現地で確認を行っていた。
事業企画・運営者目線の意見 ①水田センサーと自動給水装置で初めてリモートでの水管理ができて、非常に便利。北海道出張中でも管理できた。
②MITSUHAアプリの田んぼの水漏れ検知機能で、実際にあぜ道崩れによる水漏れを検知することができ、機能を実感できた。
運用保守担当者目線の意見 ①自動給水装置でゴミづまりや水漏れのエラーが多く、現地対応が必要になるシーンがあった。
②水位について数字を基準にすると、その数字にあわせようとしてしまったが、実際は水位の幅がありその正解がわからなかった。
案件フロント担当者の意見 ①スマートウォッチを使って水田センサーのアラート確認をしていたので、異常にすぐに気がつくことができた。
②水田センサーや自動給水装置を100台単位で管理しようとすると、1台1台数字を細かく見ていられない。


上記の意見に対して、システム改修の方向性、課題解決方法、ドローンなど他のスマート機器との組み合わせ、新しいデバイスの開発のアイデアなど、熱い議論が交わされていました。

水田の水管理を通じて、露地、ハウス、防災など幅広い分野での応用・改善ポイントの意見もありました。
予定していた2時間の座談会があっという間にすぎたので、参加したメンバは農業に対する熱い想いをもちつつ、ものづくりを楽しんでいるチームなんだと改めて感じました。

 

さいごに

本取組みに快く承諾をいただいた白井市と田んぼを貸してくださった白井市の農家さんにはとても感謝しています。
今後もアグリ事業推進部で白井市をはじめとする日本各地での経験、利用者の意見をもとに、日本の農業の発展につなげていくので引き続き応援をよろしくお願いいたします。

おまけ

IIJでは、水田センサー MITHUHA LP-01 を使用してできたお米を「IoT米」としてノベルティにしています。
今回、IIJメンバーと白井市の農家さんで育てたお米はIoT米として白井市のキャラクター「なし坊」とIIJ キャラクター「バリーくん」とのコラボでパッケージしました。
食べやすいサイズで、パッケージごとお鍋で炊くこともでき、備蓄米としても活用可能です。
詳細については次回ブログで紹介いたしますのでお楽しみにしていてください。

 

 

hanamako

2024年10月30日 水曜日

2018年より農業IoTに関わる。それまではネットワークエンジニアとして、MSのExpress Rourte や Googleの GCP接続、IIJサービスのSIに従事。自宅でいろんな作物の栽培にチャレンジ中。

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