オンラインイベントのバーチャルスタジオ作りに使えるTeamsのNDI対応 (OBSレイヤーの組み方サンプルあり)
2021年09月27日 月曜日
CONTENTS
挨拶
3度の飯より星川サラが好きな今西亮太です。
普段はJOCDN(※)でCDNサービスの運用保守に勤しんでいるのですが、一方でIIJグループから社内外の映像配信に関する依頼があれば相談から現場オペレーション(カメラ・映像スイッチング・ミキシング など)まで全てをサポートしたりしています。
(※)JOCDN: IIJと放送事業者の共同出資で設立された動画配信プラットフォーム(CDN)事業者(https://www.jocdn.co.jp/)
概要
今回は2021年9月6日に開催しましたIIJの技術イベント “IIJ Technical NIGHT vol.11” について、遠隔地(愛知県)の出演者と東京本社の配信ブースを繋ぎどの様に配信をしたのか簡単にではありますが紹介いたします。
配信構成
配信構成のサーバー側は前回の記事と同様ですが、今回はDiscordではなくTeamsを使用している点が変更となっております。
Teamsを選定した理由
記事を読まれてる方の中には「Microsoftに心を売ったのか?」「なぜTeamsなの?」などと思う方がいるかと思いますのでお答えします。
まず、Microsoftに心を売ったのかと言われると小学生の頃からWindowsを使ってる時点でMicrosoftに身も心もどっぷりと漬かっています。
製品が使いやすいかについては人それぞれ感じ方は異なると思いますが、私個人としては製品や機能ごとに使いやすい部分と使いにくい部分があり何とも言えないと言った状態ですね
そして本題のなぜTeamsなのかと言えば2つの観点があるかと思います。
1.出演者の操作性
2.配信のクオリティが著しく下がらずオペレーションを複雑化しない
今までDiscordを使用していましたが、出演者の大半で使用経験が無い状態でした。
その為、リハーサルでは使い方の説明などでかなりの時間を要していました。それでも、Discordを使用していたのは出演者ごとに音量バランスが異なっている場合でも配信チームが調整できるという点とDiscord上で表示されるカメラ映像がTeamsの様に意図せず自動でサイズ変更がされない為でした。
しかし最近では、拠点間をTeamsで繋いでライブ配信を行っています。
その決め手となったのはNDI機能の追加でした。TeamsのNDIでは出演者のカメラ映像や資料映像を単体で抜き出す事が可能です。
OBSではTeams画面のスクリーンキャプチャを行うことで出演者の映像を加工することもできますが、出演者がカメラをON/OFFしたり、接続が切れてしまったりすると、Teams画面内のレイアウトがずれてしまい、OBSに取り込んでいる画像もズレてしまいます。NDIならこういったズレは起りません。
また、Teamsは会社のコミュニケーションツールで日頃から使っているため、テレビ会議などの操作にも慣れている事から出演者への負担を大幅に減らす事ができます。
とは言えTeamsに変える事で、Discordのメリットでもあった話者ごとの音量調整はできないという課題もありますのでリハーサルでマイクの位置調整や声量の確認などは必須となります。
NDI(ネットワークデバイスインターフェイス)とは
NDIは、アメリカのNewTekによって開発されIPを活用した映像や音声などをリアルタイムで伝送可能にするプロトコルです。
NDIは放送・映像製作の業界が発祥の技術で、中継や収録の際の素材となる映像音声を、高品質・高ビットレートで低遅延に伝送できるのが特長です。最近は映像製作用の業務用カメラやスイッチャーでもNDIに対応する製品が増えています。
今回の様にTeamsやOBS(プラグイン必要)でも利用できます。
OBSのNDIプラグイン:https://github.com/Palakis/obs-ndi/releases
OBSでの画面構成
今回の配信では11個のシーンを作り配信しました。
doumaeちゃんの司会進行設定画面(上記図の4-8番もNDIソースが異なるだけで同様の設定)
前半トーク画面の設定画面
後半座談会の設定画面
座談会で出演者が向かい合う演出
広報部と配信チームで画面イメージのアイデア出しをしていると広報部のイベント担当者が「向き合ったような演出にしたいから人をOBSで回転させて欲しい」と言いました。
それに対して今西は「違和感しかない」と反論して「人が向き合った演出をするならそもそも人を斜め前から撮影するべきだ」と伝えました。
しかし、イベント担当者からはイメージができないからよくわからないと言われました。
そこで、周辺にある機材を使ってデモをしました。
その時の写真になります。(モデルは安定の弊社所属アイドル堂前清隆です。)
これを見せたところイベント担当者から「とてもきれいに斜めの絵が入ってますね!自然ですね!イメージがようやく湧きました。」と言っていただき好評だったので出演者へ打診をしていただきこのような撮影方法となりました。
最後に
コロナ禍により世界情勢的にもリアルでのイベント開催が難しくなる一方で、オンラインによるイベント開催は驚くほどに需要が伸び市場も急成長しています。
その理由として大きいのは、オンライン開催により参加者側の参加ハードルが大幅に下がり誰でも容易に参加でき、主催者側は今までとは違う新規の客層にも知って頂けることだと思います。
しかし、人を集めて視聴者数を増やしただけでは偉い方への報告書の提出ぐらいにしか役に立たず無意味なイベントだと言えます。
重要なのはイベントで伝えたい内容を視聴者へ正しく伝える事であり、そのためにどのような工夫をする必要があるかだと思います。
配信チームとしては、配信画面の見せ方で見ているお客様へインパクトを与えつつ少しでも笑顔になれて楽しかったと言って頂ける工夫をしています。
今後も裏方としてイベントを盛り上げ皆様に楽しんでいただける努力を続けてまいります。
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執筆者Twitter | @ryota_imanishi |
愛してるぞ星川ァ!