Starlinkの標準機能だけで冗長構成を組んでみる(ワンデイラボ)
2026年05月15日 金曜日
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Starlinkのみで冗長構成を組む意味
他に有効な通信手段が存在しない環境では、Starlinkを用いた可用性確保は重要なテーマになります。本記事では、「Starlinkのみ」で冗長構成を組むことにどのような意味があるのか、その考え方と、実際の構成例・挙動について整理します。
航空機や船舶向けには、従来から静止衛星を利用した衛星インターネット接続が存在し、Starlinkとそれらを組み合わせて冗長化する構成も考えられます。しかし、従来型の衛星通信は、コスト・帯域・遅延の面でStarlinkとの差が大きく、バックアップ回線へ切り替えた際の使用感が大きく変化してしまいます。
非常時のみ使える最低限の通信路として割り切る考え方もありますが、実運用では「切り替え後も通常業務を継続できること」が重要になる場面も少なくありません。そのため、Starlinkのバックアップとして別系統のStarlinkを利用する構成には一定の意味があると考えています。
Starlinkのみの冗長構成は単一障害点にならないのか?
Starlinkのみの冗長構成は、単一障害点にならないのでしょうか?Starlinkの通信相手は固定された1基の衛星ではなく、大量の低軌道衛星群です。端末の上空を次々と衛星が通過し、通信相手も継続的に切り替わります。この構造により、個別衛星の故障や特定通信路への依存度は比較的低くなっています。

一方で、認証基盤や管理システム側の障害によって、実際にサービス影響が発生した事例もあるのも事実です。Starlinkが完全に無停止なシステムであるとは言えませんが、少なくとも物理回線断への対策としては、Starlinkのみで冗長構成を組む価値は十分にあると考えています。
「IIJ Starlinkワンデイラボ」を6月29日(月)・30日(火)に開催します。
会場は渋谷駅から歩いて10分ぐらいの街中で、バルコニーから空がいい感じでみえるStarlinkの検証には良い場所です。
ワンディラボではStarlinkの冗長構成を体験できるようにします。
日頃試してみたかった機器を持ち込んでもらって試してもらったり、Starlinkの最新情報を共有したりと有意義な会にしたいと思っています。
情報収集の機会として有用かと思いますのでぜひ参加をお願いします。オンライン視聴もありますので気楽に登録お願いします。
冗長構成の概要
法人向けのプランを契約し、Gen3ルータを使うとStarlinkキットだけで冗長構成を作る事ができます。アクティブ・アクティブの構成になるので回線としても無駄がありません。

Gen3ルータのLANポート同士を結線すると冗長構成にすることができます
利用者はどちらかのWiFiに繋いで利用しますが、Gen3ルータにはLAN接続用のポートもあるので有線接続も可能です。
切り替え時の挙動を解説
通常2台のStarlinkは独立して通信を提供しています。

正常時2本の回線は独立して通信している
例えばStarlink1に障害が発生するとWiFi1に繋いでいるユーザはRouter1→Router2→Starlink2を通って通信を継続できます。Router1からRouter2に入る部分でNATされているのが肝です。Router2が管理しているネットワークのIPアドレスにNATする事でStarlink2からRouter1配下の機器と通信できるわけです。

Starlink1経由で使っていたセッションは切れてしまいますが、再接続すればStarlink2経由で利用を継続できます。
Gen3ルータの結線、設定について
Gen3 RouterにはLAN接続用のポートが2個あります(J2、J3)。公式ドキュメントによると冗長構成を使うときはJ3を使う事が推奨されています。
ルータのJ3ポート同士をLANケーブルで接続します。

設定は法人むけプランに用意されているRouterのカスタマイズ機能を使います。
細かい手順は省略しますが、要はイーサネットポートの設定画面に「Starlinkフェイルオーバ」の役割を設定するだけです。

ルータ設定画面、公式資料ではJ3ポートを使う事を推奨しているが、この例ではJ2ポートをつかっている
Router1では「StarlinkフェイルオーバーA」として、Router2では「StarlinkフェイルオーバーB」を設定します。
設定完了後のネットワーク構成はこのようになります。

カスタマイズが必要なのは①のLAN部分の設定で、推奨はそれぞれ別のネットワークセグメントにする事です。
Router1からRouter2に繋がる所でNATされているのでLAN部分が同じネットワークでもインターネットとの通信はできると思うのですが、Router1配下の機器からRouter2配下の機器への通信も考慮すると違うセグメントにした方が良さそうです。
死活監視はルータが実施します。POPまでの到達性が30秒切れると切り替わるようです。ルータが故障したときは、機器のWiFiの接続先を生きている方に切り替えて使う事になります。
IPv6の冗長化
IPv6も冗長化されていますが、NAT等などは用いずDHCPv6で取得したプレフィックス情報をそれぞれのルータに伝搬させるようです。回線が切断されるとDHCPv6の有効期限が切れて生きている方だけを使うようになるようです。
実はv6の検証をちゃんとしていなかった(アドレスが変化したのは確認していたのですが、、)のでワンデイラボで一緒に検証できたらと考えています。