「ペロポン」で読み解く、LPWAの現在と今後
2017年12月19日 火曜日
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【IIJ 2017TECHアドベントカレンダー 12/19(火)の記事です】
IoT業界ではLPWAと呼ばれる無線通信技術が話題となっています。
LPWAとは Low Power Wide Area の略で、その名の通り省電力で広域の無線通信を実現するための技術です。
LPWAは、既存の通信技術を置き換えるものではなく、あくまで特定用途に特化した通信を行うための技術です。それは、省電力・広域通信というメリットを享受できる反面、通信速度・通信量に制限があるためです。
現在、LPWAの技術として、LoRa(LoRaWAN)とSigfoxの2つがせめぎ合いをしています。また、2018年度にはLTE回線を使用したNB-IoTやCat.M1という技術も入り込み、これらが三つ巴となる見込みです。
弊社ではLoRaWANを利用した農業IoTを構築しております。
LPWAの話になると、LoRaとSigfoxどちらが勝つのか、NB-IoTが出てくるとどうなるのか、という話題になりがちです。
今回は「ちょっとした実験」での現在の結果を踏まえつつ、LPWAの今後を読み解いてみたいと思います。
「ペロポン」
これが「ちょっとした実験」の素材です。聖新陶芸さんが販売している「ペロポン」という癒し系植木鉢セットを利用しています。
このペロポンに、このような感じでマイコンを設置しています。
大小3つあるペロポンは、それぞれ LoRaWAN, Sigfox, Bluetooth Low Energy(BLE) の各マイコンを利用し、室温・明るさ・土壌水分料のデータをIIJ IoTサービスにデータ送信しています。
なお、BLEは「LPWA」の範囲には入らない方式だと思いますが、一般的にかなり普及している通信方式であるため、今回の検証の対象に加えてあります。
異なる通信方式をまったく同じ条件で検証をすることで、各方式のメリット・デメリットが分かってきております。
通信方式とメリット・デメリット
Bluetooth Low Energy (BLE)
メリット |
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デメリット |
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適している用途 |
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Sigfox
メリット |
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デメリット |
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適している用途 |
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LoRaWAN
メリット |
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デメリット |
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適している用途 |
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3G/LTE
日本では3GやLTEの携帯電話回線を使用したIoT通信もよく利用されています。ついでなので、そちらのメリットデメリットもまとめてみます。
メリット |
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デメリット |
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適している用途 |
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LPWAの今後
どれも一長一短があるため、どれが良い・悪いと言った画一的な回答は出せませんし、また今後どの方式が主導権を握るかは何とも言えません。
これは個人的な意見になりますが、今後どの通信方式が主流になるかは、いかに「気楽」に使えるようになるかにかかってくると思います。
「気楽」というのは、費用的に安く、開発や設置は簡易に、消費電力量もあまり意識せず、運用も簡易に、そして長期間のサポートで安心して使える、という意味を込めています。
結論
と、曖昧な締めになってしまいましたが、この文章で何が言いたかったと言うと、
「ペロポンかわいいでしょ」
ということです(笑)