IoTエッジカメラ「Acty-G3+」を便利に使う2つのポイント紹介

2022年04月20日 水曜日


【この記事を書いた人】
snara

2016年からIoTサービスの開発・運用に従事。埼玉県出身・埼玉県在住、埼玉を愛す男。好物は十万石饅頭。週末は愛車を丸1日乗り回すくらいの車好き。

「IoTエッジカメラ「Acty-G3+」を便利に使う2つのポイント紹介」のイメージ

はじめに

2022年4月20日に、CYBERDYNE Omni Networks社より Acty-G3+ が発売になりましたね。
Acty-G3+は、Android搭載のIoTデバイスである Acty-G3 にカメラを搭載したモデルです。Androidを搭載していることや比較的リッチなCPU処理能力を持っていることから、端末内で各種処理をした上でクラウドと連携することができるデバイスです。
弊社では、従来機 Acty-G3 を利用した BLE IoT スターターパッケージ を2021年から提供しており、好評を得ております。
今回、Acty-G3+ を発売開始に先駆けて入手できましたので、実際にいろいろ試してみました。

(左:Acty-G3+  右:Acty-G3)

Acty-G3+を実際に試してみる

AIカメラとして使ってみる

Androidでは、OpenCV、TensorFlow、ML Kit などの機械学習ライブラリが用意されています。
前述の通り、Acty-G3+ はAndroid搭載で比較的リッチなCPU処理能力がありますので、これらの機械学習ライブラリを有効に利用できることがメリットの1つです。
今回は、Google が提供している ML Kit を使用して、実際にActy-G3+のカメラ映像を端末内で画像解析させてみました。

顔認識 (※1)
バーコード認識
QRコード認識
文字(英語)認識
文字(日本語)認識

(※1) 顔認識の画像は肖像権・著作権の関係でボカシを入れています。

このように、ある程度の画像解析を端末内で実現できました。
リアルタイムの映像(動画)を常時解析させることもできましたが、CPU負荷が高いようで、少し処理が重くなるようです。現実的には、動画を常時解析するのではなく静止画を撮影してそれを解析させるような使い方が適しているように思います。

ウェアラブルカメラとして使ってみる

Acty-G3+はAIカメラ用途でも使用できますが、もちろんシンプルに映像の撮影・記録を行うカメラとしても使用可能です。
Acty-G3+を「小型で軽量」「SIMを挿して単体でLTE通信が可能」「バッテリー搭載」などのメリットを生かして、ウェアラブル(持ち運び用)カメラとして使うことも有用だと思います。
以前、「IIJ IoTサービスを使ってお手軽・低コストに監視カメラを導入する方法」という記事を書きました。
監視カメラとIIJ IoTサービスを組み合わせることでより便利に監視カメラを導入するような内容ですが、この記事内の「監視カメラ」を「Acty-G3+」に置き換えることでウェアラブルなカメラを便利に使えるようになります。
今回は、実際にActy-G3+上で動画の撮影と記録を行うサンプルプログラムを作成し、IIJ IoTサービスと組み合わせて便利に使ってみます。

ウェアラブルカメラ用サンプルプログラム

以下のような機能を持つウェアラブルカメラ用アプリを試作してみました。

1.映像の記録

撮影した映像を動画ファイルとして記録し、それをモバイル回線経由で自動的にIIJ IoTサービスのクラウドストレージにアップロードします。
この機能は、監視カメラ的な使い方をを想定しています。

動画ファイルは自動的にクラウド連携されますので、後でカメラ内のSDカード等から動画ファイルを取り出すような面倒な作業は不要ですし、端末内のストレージの容量不足を気にすること無く映像を記録し続けることが可能です。
また、クラウドにアップロードされた動画ファイルはすぐに外部から参照可能になるので、ほとんどタイムラグ無しに遠隔地から映像を参照することが可能です。

(撮影した動画ファイルがデータストレージに自動的に保存される) (Video Viewer機能で動画を再生することが可能)

2.映像のライブ配信

カメラで撮影している映像を rtsp (Real Time Streaming Protocol) もしくは HLS (Http Live Streaming) でライブ配信ができます。
この機能は、遠隔地の映像をライブで参照することで、遠隔業務で映像を利用するようなことを想定しています。

カメラから配信しているライブ映像は、IIJ IoTサービスの閉域モバイルネットワークを通じて配信されるため、セキュアに映像を閲覧することが可能です。
以下の通り、Webブラウザから IIJ IoTサービスのコントロールパネル(管理画面)にログイン後、デバイスコントロール機能を使用することで、HLSのライブ配信を参照できます。

(デバイスコントロール機能で現場のカメラに接続し、HLSのライブ映像を参照しているところ。わかりにくいですが動画です。)

また、2022年3月に新たにリリースした デバイスリンク機能を使用することで、rtspのライブ配信の参照も可能です。

(デバイスリンクを実行後、VLCメディアプレイヤーで rtspのライブ映像を参照しているところ)

2つの手法でライブ配信が可能ですが、ブラウザ単体で利用可能でより手軽に映像を参照できるHLS、他の映像機器と連携しやすい rtsp、と、利用シーンごとに適切な手法を選択することが可能です。

3.Webブラウザからの音声をカメラに送り届ける

カメラのライブ映像をHLSで遠隔のWebブラウザから参照する方法を前述しましたが、この機能に追加して、逆方向に音声を配信する機能も作成しました。
この機能は、音声を利用した双方向のやり取りで、両者で会話をしながら遠隔業務をするようなことを想定しています。
ブラウザから入力した音声は、モバイル回線を通じて Acty-G3+ に送り届けられ、Acty-G3+のスピーカーからほぼリアルタイムに再生されます。

Acty-G3+ を持った現場担当者から映像と音声をライブ配信し、遠隔地にいる担当者はそのライブ映像を見ながら音声を発することで現場に向けて音声を送り届けられる。これにより双方向で会話するようなやり取りができます。

4.その他機能

BLE IoTスターターパッケージ と同様に、BLEセンサーのデータを送信したり、Acty-G3+内蔵のGNSS(いわゆるGPS)で位置情報を記録したりすることも可能です。

ユースケース

このようなウェアラブルカメラ用のサンプルプログラムを作成してみましたが、小型軽量かつ単体で通信可能なActy-G3+メリットを活かして、以下のような使い方が考えられると思います。

  • 工事現場等で、短期間(数週間~1ヶ月程度)だけ使用する監視カメラとして利用する
  • 完全に固定して設置する監視カメラではなく、短期間だけ利用する可搬型の監視カメラとして有効に使えるのではないかと思います。
  • 現場の作業内容を遠隔地から確認するためのウェアラブルカメラとして利用する
  • 作業内容を、遠隔地にいる担当者に向けてライブ配信しながら、その担当者と双方向で会話しながら作業するような使い方ができると思います。

 

今後の展開

AIカメラ・ウェアラブルカメラとして技術検証を進めてまいりましたが、引き続き Acty-G3+ と IIJ IoTサービスを組み合わせて有効に活用できるソリューションの開発を進めてまいります。

また、BLE IoTスターターパッケージに対して、カメラを活用する機能追加を検討しております。例えば、センサーの情報とセットで、定期的に動画・静止画を撮影してクラウドに送ったり、カメラ映像を解析した結果をクラウドに送るような機能追加を検討しております。

ご興味のある方は、弊社担当営業かお問い合わせフォームよりご連絡いただければ、詳細をご説明いたします。
また、こんな機能が欲しい、こんなことが実現できないか、と言ったご意見・ご要望なども承りますので、何でもご連絡ください。

snara

2022年04月20日 水曜日

2016年からIoTサービスの開発・運用に従事。埼玉県出身・埼玉県在住、埼玉を愛す男。好物は十万石饅頭。週末は愛車を丸1日乗り回すくらいの車好き。

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