IIJの季刊技術レポート「IIR vol.59」(2023年6月号) 発行のご挨拶

2023年06月23日 金曜日


【この記事を書いた人】
IIJ Engineers Blog編集部

開発・運用の現場から、IIJのエンジニアが技術的な情報や取り組みについて執筆する公式ブログを運営しています。

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※本記事は、2023年6月23日発行のIIR Vol.59より「エグゼクティブサマリ」を転載したものです。

エグゼクティブサマリ

前号の小誌で、OpenAIのChatGPTについて触れました。その後は毎日のように、生成AIや大規模言語モデルに関する情報が、IT業界のみならず、社会全体の話題をさらっています。企業における活用が進み、社会への浸透も急速に進んでいる様子が感じられます。

一方、生成AIがもたらす負の側面についても、言及されることが増えているようです。先に開催されたG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合において「AIガバナンスの相互運用性を促進等するためのアクションプラン」が採択され、G7広島サミットの首脳コミュニケにおいても「ガバナンス、著作権を含む知的財産権の保護、透明性の促進、偽情報を含む外国からの情報操作への対応、これらの技術の責任ある活用」などが具体的に言及されています。

AIもひとつの技術である以上、最先端の技術を開発・利用する者に高い倫理観が求められることは言うまでもありません。技術者の一人としてそれをあらためて認識した次第です。

「IIR」は、IIJで研究・開発している幅広い技術を紹介しており、日々のサービス運用から得られる各種データをまとめた「定期観測レポート」と、特定テーマを掘り下げた「フォーカス・リサーチ」から構成されます。

1章の定期観測レポートでは、電子メールを中心とするメッセージングを解説します。インターネット上では様々なサービスが開発されてきましたが、電子メールは今でもインターネットに欠かせないサービスの1つであり、IIJも創業以来、電子メールを提供しています。そのような寿命の長い、重要なサービスではありますが、今でも機能改善が進んでいます。そのような状況における、IIJの電子メールサービスの停止、M3AAWGのトピックとしてDMARC 2.0、送信ドメイン認証とSTARTTLSの普及について説明します。

2章のフォーカス・リサーチでは、IIJの社員が開発しているマルウェア解析のツールを紹介します。マルウェアはインターネットで大きな脅威となっており、被害の事例も数多く発生しています。筆者はIIJのマルウェア&フォレンジックアナリストとして、顧客のインシデント対応を行うと共に、その経験を活かしてマルウェア解析のツールの開発を行っています。実際に解析を行っている立場から、必要と感じる機能を実装していることもあり、マルウェア解析の実態が垣間見られる記事になっています。

3章のフォーカス・リサーチでは、クロスデバイスフローによる認証・認可を取り上げます。インターネット上で提供されるサービスが社会のインフラとなる中、サービスを利用する際の認証・認可の重要性は高まるばかりです。クロスデバイスフローにより、多くの人が常時携帯しているスマートフォンを活用し、より安全で使いやすい認証・認可フローを実現できます。標準化された、あるいは、標準化に向けて作業中の複数のデバイスフローの仕様や違いについて述べています。

4章のフォーカス・リサーチは、前回のバックボーンネットワークに続き、DNSに関するIIJの取り組みを紹介します。DNSはインターネットの根幹を支える基盤であることは言うまでもなく、IIJも創業以来、様々な形でDNSに向き合ってきました。サービスや技術の観点から、社会とDNSのつながりも含め、IIJとDNSの30年間を振り返ってみました。現在とは大きく異なる商用インターネットの黎明期のDNS事情など、興味深い内容になっていると思います。

IIJは、このような活動を通してインターネットの安定性を維持しながら、日々、改善・発展させていく努力を行っています。今後も企業活動のインフラとして最大限にご活用いただけるよう、様々なサービスやソリューションを提供し続けてまいります。

本レポートの全文はこちらからご覧いただけます。

Internet Infrastructure Review(IIR) vol.59(2023年6月23日発行)

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