高精度時刻同期を可能にするPTP(Precision Time Protocol)の概要とIIJの課題解決の取り組み〜RPTP〜(IIR Vol.69)
2026年04月08日 水曜日
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2026年3月に発行したIIJの技術レポートIIR vol.69 第2章では、高精度時刻動機を可能にするPTPの概要とIIJの取り組みについてお届けします。
なぜ高精度時刻同期が必要とされるのか
近年、システム間で共通の時刻同期を高精度に共有することを前提とするシステムが増えています。例えば携帯電話に代表される移動体通信システム、電力システムでのスマートグリッド、高頻度取引を行う金融システムなどです。これらのシステムは内外の連携において厳密な同期を要求します。時刻もしくは同期精度が不十分な場合、通信制御の不成立、制御信号の誤動作、データの不整合などが生じる可能性があります。このような高精度時刻同期要求を背景として、IEEEにより PTP(Precision Time Protocol, IEEE 1588) が策定されました。
高精度時刻同期プロトコルPTP
PTPはネットワーク経由でのリアルタイムクロックの同期を目的としてIEEEによって標準化されました。IPv4, IPv6およびIEEE 802.3 Ethernet上で用いることができます。
PTPはサブマイクロ秒レベル、つまりマイクロ秒未満の同期精度をサポートし、一部拡張プロファイル(White Rabbit等)ではサブナノ秒単位の精度を達成できます。
高精度な時刻同期を達成するには、その性能を確保するためにネットワークでの対応も必要になります。理想的には、PTPで同期するPTPインスタンス間の経路上すべての機器がPTP対応であることが望まれます。このように構成されたネットワークはPTP aware networkと称されます。
公衆網でも使えるPTPを目指して
従来のPTPは設計上、閉域かつ高品質なネットワークを前提としていました。これを公衆網へ拡張しようという試みが、RPTP(Resilient PTP)です。RPTPはPTPを不安定な公衆網上でも伝送することを目指した技術です。RPTPの特徴は、PTPパケット到着タイミングからジッタ成分を排除し、正しく同期したクロックを生成するアルゴリズムです。RPTP機器はPTPのプロトコル仕様を一切変更せず、アルゴリズムによるフィルターを受信側で適用します。これにより、既存のPTP対応機器に手を加えずに使うことができるのがRPTPのメリットです。RPTPはPTP unaware network上においても、実用的な精度でPTP時刻同期を成立させることを目指した設計になっています。
本稿ではIIJのフレッツ接続サービスを用いたPoCを紹介しています。大阪からフレッツ上のL2VPN経由で届いたPTPのパケットを、横浜のRPTP装置で受信。良好な結果が得られています。
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