IP over DWDMは、バックボーンをどう変えたのか(IIR Vol.69)
2026年04月08日 水曜日
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2026年3月に発行したIIJの技術レポートIIR vol.69 第3章では、IIJバックボーンにおけるIP over DWDMの商用導入についてお届けします。
IIJはなぜ、IP over DWDMを導入したのか
インターネットバックボーンのサービス品質を維持するためには、トラフィックの増加や技術の変化に対して、自社で設計判断できることが重要です。近年、トラフィックの増加スピードは加速し、従来の拡張手法だけではリードタイム、柔軟性、コスト面等で課題が生じてきました。そうした背景から検討・導入されたのが、IP over DWDMです。
IP over DWDMでは、ルータに直接挿入可能な DCO(Digital Coherent Optics) を用いることで、トランスポンダを介さずDWDM伝送を実現できます。これにより構成がシンプルになり、増強のリードタイム短縮やコスト削減、運用効率の向上が期待できます。
商用導入に向けた徹底的な検証
IIJでは2021年頃から段階的に検証を開始し、複数ベンダーのDCOやOLSを用いた実機試験を重ねてきました。
検証では、ベンダー間の相互接続性、実装差による挙動の違い、チューナブル設定が反映されない事象など、商用導入時にリスクとなり得る問題を洗い出しました。また、400ZR特有の高発熱や消費電力、冷却構造の影響についても詳細に確認しました。既存のDWDM網を流用する構成では光パワーや隣接チャネル干渉といった課題が明らかになり、最終的にはIP over DWDMに最適化したOLS構成を選定する判断に至りました。
商用ネットワークでの構成と、その効果
商用導入は、2025年に新設された大阪の拠点間で行われました。導入初期は冗長性を確保するため、片系を従来構成、もう片系をIP over DWDMとする構成とし、段階的な適用が行いました。規格は400ZRを採用し、波長間隔やOLS設計は検証結果を踏まえて慎重に決定しました。
結果、コスト面では従来構成と比べて大幅な削減が確認され、増強リードタイムの短縮や運用効率の向上といった効果も得られました。将来的な拡張性や省電力性の面でも今回の選択は有効だと考えられます。
検証の詳細や設計上の判断、運用上の工夫を解説した全文は、こちらからご覧いただけます。
