データ品質と遠隔制御を実現するIoTゲートウェイ「P3EG®︎」の仕組み

2026年08月31日 月曜日


【この記事を書いた人】
IIJ Engineers Blog編集部

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「データ品質と遠隔制御を実現するIoTゲートウェイ「P3EG®︎」の仕組み」のイメージ

今回はIIJのグループ会社である、ネットチャートの杉山 文彦さんからの寄稿です。

IoT市場における3つの課題「人材の不足」「データ集約とデータ欠損対策」「高額な導入費」を解決するソリューションP3EG (Profile Programmable Proxy Edge computing Gateway)を、開発者の視点から紹介します。

はじめに

データ駆動社会が進みつつある中で、データの役割と価値が益々高まっており、企業や政府がデータを単なる記録ではなく、収益や戦略的価値を生む資産と捉えるようになりました。データ収益市場が急成長するとともに、データ欠損が資産喪失と認識されることから、データ欠損の防止策・欠損時のトレーサビリティはデータ駆動社会において重要です。また、各種データを活用して各種システムや機器の障害予兆の監視機能・障害前の自動復旧機能は、経営効率に大きく貢献します。

このデータ駆動社会において、「データ品質の継続的な把握」「障害予兆の早期発見と迅速な対応」「データ活用の最適化」を、データ中継機能と連動して実現するゲートウェイアプリケーションが、NCJが開発したP3EG®︎Profile Programmable Proxy Edge computing Gateway)です。

P3EG®︎は、閉域網内に設置することを基本として、閉域網内デバイスとクラウドとのデータ中継を通じて様々な機能を提供するとともに、ソフトウェアの特徴を活かし様々なハードウェア上で動作するべく開発いたしました。

企業内DXについて

図 1:企業内DXの流れと課題

IIJブログ用部品

生成AIが個人用途で利用され作業効率が向上する一方で、企業内DX(デジタルトランスフォーメーション)でのAI活用はこれからの状況にあります。

NCJはその要因の1つに、企業内の各種センサー・システム・オペレーションのデータを集約できていないことがあると考えております。

企業内DXAIを使用するためには、AIが求めるデータフォーマットにする必要があるため、その手前のサーバへのデータ集約が重要となります。

ここで課題となるのが、データソースがマルチベンダー装置から出力される異なるデータフォーマットを、どのようにサーバへ届けるかです。方法は、2つあります。1つ目は、エッジ側デバイスから直接サーバへ送信する方法、2つ目は、ゲートウェイ装置でサーバ送信を中継する方法です。

「図1:企業内DXの流れと課題」に示すように、エッジ側デバイスが直接サーバへ送信する場合ですと

  • エッジ側マルチベンダー設備からサーバへの送信プロトコルの実装
  • 複数プロトコル・複数サーバへ送信
  • データ送信障害時の対策
  • マルチベンダー機器からのデータに対応したサーバ側DB構成

などの課題があります。この方式ですと、エッジ側機器の改修を伴うため、TOCTotal Operation Cost)や実装時間の点から実質不可能です。

次にゲートウェイ装置でサーバ送信を中継する場合ですと

  • Edge Gatewayのエッジ側マルチベンダー設備から各種各様なデータ取得方法への対応
  • 複数プロトコル・複数サーバへ送信
  • データ受信・送信障害時の対策

などの課題がありますが、この方式ですと、柔軟な機能実装の方法やTOCを考慮した構成を検討する必要はありますが、実現可能性の高いデータ集約方法です。P3EG®︎は、この方式の課題を解決するゲートウェイアプリケーションとして開発いたしました。

以下に、P3EG®︎の基本機能について記載します。

P3EG®︎の機能

図 2:P3EG®︎の接続概要

通信の終端

P3EG®︎はゲートウェイアプリケーションなので、すべてのデバイスとの通信を終端し、通信からデータを取り出すことが基本機能となります。

データを取り出したのち、必要な演算を行い、適切なデータフォーマットに変換したうえで、目的のデバイスへデータを送り届けます。

通信ログ管理と再送機能管理、データの可視化

P3EG®︎は、終端するすべてのデバイスとの通信ログを管理し、データ送信に際しては送信エラーが発生した場合の再送・履歴管理などの再送機能を強化しており、本体の電源が遮断されていても、通信予定のデータを保持しており再起動後に再送を開始します。これらの機能は「データ品質の継続的な把握」を目的に設計しており、当社はこれらの機能をデータSLA🄬(NCJの登録商標)と呼んでおり、デバイスからの受信・デバイスへの送信の通信ログから時系列で通信状態を可視化、受信したデータの可視化を行います。

通信プロファイル機能:マルチベンダーデバイスの通信とデータフォーマットへの対応

P3EG®︎は、様々なデバイスの通信プロトコルや、各デバイスから送られるデータフォーマットに対応します。

これらはカスタマイズが必要ですが、P3EG®︎はカスタマイズを容易に実現するために、プロファイル機能を持っています。通信プロファイルを定義することで、コアの通信機能やデータ変換機能が動作する構造となっており、様々なプロトコル・様々なデータフォーマットに対応可能です。

様々なLinuxハードウェアで動作するP3EG®︎

図 3:演算能力を考慮したハードウェア選定

P3EG®︎は、様々なLinuxハードウェアで動作します。これにより、データの中継・演算や制御環境に応じシステム要件を満たすハードウェア選定が可能となり、効率的なIoTシステムのTOCを提供できると考えております。

また、既存のLinuxで動作する製品への実装も可能となり、既にArmadilloPicoCELAなどでの動作確認をしており、Mobile RouterWi-Fi APが、DXのデータ収集と制御機能を持つ装置へ機能強化できるのもP3EG®︎の特徴となります。

制御シナリオ機能:マルチベンダーデバイスの制御

P3EG®︎は通信プロファイルとは別に制御シナリオ機能をもっております。制御シナリオでは、対象機器への制御タイミングと制御内容、アラートなどを定義します。

例えば、各種センサーから受信した値が特定条件になったときに対象の機器を制御(制御もしくは自動復旧など)したり、受信したデータの特定の値が閾値を超えた場合にアラートを出したりする処理が可能となります。

これらの機能は「障害予兆の早期発見と迅速な対応」を目的に設計しております。

P3EG®︎ Conductor中央監視と遠隔制御

P3EG®︎はダッシュボードで各種データを可視化しており、P3EG®︎Webアクセスすることで通信ログの状況・受信データの状況・制御を閲覧することができます。また、P3EG®︎が複数個所の閉域網に点在する場合、各々のP3EG®︎にログインして各種情報を閲覧することは非常に困難ですので、P3EG®︎P3EG®︎ Conductorというサーバ機能を持っています。

図 4:P3EG®︎とConductorの接続概要

P3EG®︎Conductorと独立した通信を行い、各P3EG®︎が保持するログ情報をConductorに集約することで、管理者はConductorから、すべてのP3EG®︎の情報を閲覧(中央監視)できます。

 また、Conductorから各P3EG®︎OTA機能や動作停止などの命令やP3EG®︎に接続するデバイスへの制御シナリオなどを提供(遠隔制御)します。

まとめ

図 5:NCJのIoTソリューション概要図

当社は、データ駆動社会や企業内DXの発展のためには、AIなどのデータ分析環境を活かすデータ集約(前処理)が必須であると考えております。

P3EG®︎は、エッジ環境の様々な機器と通信を行い様々なデータを演算・統合・整合をエッジ側で行うことで、データ集約の課題を解決します。このようなエッジデータプラットフォームをP3EG®︎で提供することで、当社はクラウド分析環境の活用頻度を高めるともに、エッジとクラウド間との「データ利活用の双方向通信環境」を提供し、企業内DXをはじめとするデータ駆動社会の促進に貢献したいと考えております。

参考

今回紹介したP3EG®について、その実用例やIoTゲートウェイの現場実装と今後の展開は、以下の記事で紹介しています。
P3EG®の実用例から見る、IoTゲートウェイの現場実装と今後の展開

IIJ Engineers Blog編集部

2026年08月31日 月曜日

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