Starlink(スターリンク)のIPアドレスと地域の対応、geoip情報について

2024年01月23日 火曜日


【この記事を書いた人】
谷口 崇

結構長くゲーム業界に出向していましたが、2022年秋に戻ってきました。 ゲーム業界での経験も生かしながらIIJのエンジニアとしてちょっと面白いことを提供できていければいいなぁと思っています。 格闘ゲームの世界チャンピオン(Evo2017)になった従兄弟がいますが彼にゲームを教えたのは僕ではありません。2023年は4位でしたね、おめでとうというべきか残念というべきか。 どうぞよろしくお願いします。

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StarlinkのIPアドレスと地域判定について

Starlinkが日本に登場して1年が過ぎ、認知も徐々に広がってきています。利用が広がるにつれ、Starlink経由で国内のサービスを使った時にIPアドレスの地域判定に失敗する、例えば日本国内向けの動画視聴サービスをStarlink経由で使おうとすると国外と判定されてしまい使えないといった話も聞く事があります。

アクセス元のIPアドレスを使って地理的な位置を判定する事はInternet geolocation と呼ばれ、有償・無償で様々なサービスが存在しています。GeoIPはMaxMind社の商標(https://www.maxmind.com/en/company)なのでここでは全部子文字のgeoipで説明します。

本来IPアドレスと地域情報は関係性がありません。地域情報を自動的に判定できるような仕組みもないので色々なgeoipサービスがありますがその精度はバラバラです。個人的にはgeoipへの依存は良くないと思っています。Starlinkがgeoipについてどう考えているかは分かりませんが、世界中でサービスを提供しているStarlinkにとってはgeoipが原因で顧客の接続が利用先のサービスで弾かれるのは困るためか、Starlink自身がgeoip情報を提供しています。

IPアドレスと位置情報の関係については弊社の堂前が執筆した「てくろぐ: インターネット・トリビア IPアドレスと位置情報」も合わせてご参照ください。

Redditにある情報では、Starlinkは遅くても2022年の4月には以下のURLでgeoip情報を公開しているようです。

https://geoip.starlinkisp.net/feed.csv

Starlinkgeoip情報を確認してみる

さて、このデータは誰でも取得できるので、日本がどんな内容なのか確認してみました。国コード「JP」を含む情報として以下が登録されていました。このフォーマットはRFC 8805 – A Format for Self-Published IP Geolocation Feedsに準拠しています。

65.181.4.0/24,JP,JP-13,Tokyo,
65.181.5.0/24,JP,JP-13,Tokyo,
65.181.6.0/24,JP,JP-13,Tokyo,
65.181.7.0/24,JP,JP-13,Tokyo,
206.83.105.128/25,JP,JP-13,Tokyo,
206.83.124.0/25,JP,JP-13,Tokyo,
206.83.124.128/25,JP,JP-13,Tokyo,
206.83.125.0/25,JP,JP-13,Tokyo,
206.83.125.128/25,JP,JP-13,Tokyo,
206.83.106.0/26,JP,JP-13,Tokyo,
2406:2d40:3000::/40,JP,JP-13,Tokyo,
2406:2d40:4340::/42,JP,JP-13,Tokyo,

以前に調べた日本のCGNAT向けのアドレスとパブリックIPアドレスも含まれていますし、IPv6の情報も実機とあっていました。このアドレス情報から日本向けはパブリックIPv4アドレスとして1000回線を超える割り当てがあり、CGNAT向けのプールとしては2700回線程度、IPv6ネットワークとしては8万回線程度割り当てる事ができそうだとわかります。

geoip判定サービスの登録状況を確認してみる。

geoipで検索して幾つかのサービスで判定してみました。

「MaxMind Inc.の無料データベースデータ」を使っているという以下のサイトをまず試してみました。

https://www.ipvx.info/ipv4/ip-geolocation/maxmind/

判定結果はアメリカになってしまいました、残念。他のアドレスもアメリカになっていました。

有償系はどうでしょう?

https://www.maxmind.com/en/geoip-demo

は大丈夫なようです。

64.181.4.0/26で認識しているのでStarlinkが提供しているgeoip情報を取り込んでいるようにみえます。

さらにいくつかのサイトで確認してみました。

これらのサイトはいずれもStarlinkのデータが反映されているようです。有償の判定サービスなら対応はしているのかなと思います。

65.181.7.0/24と2406:2d40:4340::/42について

この二つのネットワークについてはDNSサービスを使って逆引きを確認すると、どちらも customer.sydyaus1.pop.starlinkisp.net. でした。これはおそらくオーストラリアのシドニー向けのもので、日本向けのtkyojpn1ではありませんでした。

最初は設定ミスなのかな?と思いサポートに確認してみたところ混雑などが原因で再ルーティングして使う事があるとの回答がありました。要するに混雑でIPアドレスが足りなくなるようなケースで他の国とかに割り当てたネットワークを使う事があるのかと思います。さらに日本での利用が増えれば、大きなブロックを新規に日本向けとして正式に割り当てたりするのかなと思います。

Starlinkからすればgeoip情報は正確に更新しているので判定には問題ないというスタンスなのかと思います。

国別のネットワーク数ランキング

他の国の情報も手に入ったのでネットワーク数ベースで国別ランキングを作ってみました。データは2023年12月の中旬ぐらいで集計したものですので今は少し変化しています。ネットワーク数はcsv中の行数と同じなのでネットワーク数を正確には表していません。それでも需要が大きそうな国にはたくさんネットワークが割り当てられている事がわかります。

順位 ネットワーク数 国コード 国名
1 355 US アメリカ
2 179 CA カナダ
3 44 AU オーストラリア
4 28 FR フランス
5 28 BR ブラジル
6 27 UA ウクライナ
7 26 DE ドイツ
8 25 MX メキシコ
9 21 GB イギリス
10 20 ES スペイン

広大な国土を持ち、不感知エリアの大きいアメリカ・カナダ・オーストラリアに多くのネットワークが割り当てられています。次のグループにはヨーロッパの主要な国、さらにブラジルやメキシコが続きます。

ウクライナが6位に入っているのが世界情勢を反映していますね。

日本は残念ながら?26位でした。

26 12 JP 日本

今後も時々、データを確認してみようと思います。

関連リンク

これまで掲載してきたStarlink関係の記事をまとめていますので活用してください。
動画も公開していますので、よろしければそちらもあわせてご覧ください。

谷口 崇

2024年01月23日 火曜日

結構長くゲーム業界に出向していましたが、2022年秋に戻ってきました。 ゲーム業界での経験も生かしながらIIJのエンジニアとしてちょっと面白いことを提供できていければいいなぁと思っています。 格闘ゲームの世界チャンピオン(Evo2017)になった従兄弟がいますが彼にゲームを教えたのは僕ではありません。2023年は4位でしたね、おめでとうというべきか残念というべきか。 どうぞよろしくお願いします。

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