IoTを活用した飲食産業への取り組み~国際ホテルレストランショー ホシザキ様ブースでの出展レポート~
2021年04月02日 金曜日
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はじめまして! IIJ IoTビジネス事業部の森脇と申します。本記事は、同事業部の綿田と共著でお届けします。
森脇は普段モバイルやIoTソリューションの営業を行い、綿田は主にIoT機器向けのScript作成やデータ管理用のアプリケーション開発を行っています。
今回、我々が2月に参加した「国際ホテルレストランショー」について、 前半は当日の様子や展示内容を紹介し、後半は今回IIJが展示したものを深堀りして、IoT分野におけるIIJの技術がどのように飲食産業と関わっているか、技術的側面から紹介します。
国際ホテルレストランショーとは?
「国際ホテルレストランショー」は外食・宿泊・レジャー業界に向けた各種サービスを紹介・展示している、一般社団法人日本能率協会が中心となって主催するイベントです。今年は2月16日(火)~2月19日(金)の4日間、東京ビッグサイトにて開催されました。
当日は本展示会の他にも、給食・宅配サービス業界に向けた「フード・ケータリングショー」や総合厨房・フードサービス機器の展示を行う「厨房設備機器展」が開催されており、いずれも万全なコロナ対策の中、様々な業界から多くの方がご来場されていました!
会期中は、テーマに合わせたセミナーが開催され、「サービス産業向け 次世代技術セミナー」ではウィズ・コロナ時代におけるロボットビジネスの活用や、客数や売上を予測する「来客予測AI」の紹介が行われました。
また3月からは上記3つの展示会の内容を含んだ「バーチャル展示会」が開始されます。こちらはオンライン方式で、出展企業の情報を手軽に幅広く得ることができる他、本展示会で気になった製品について、詳しく問い合わせることができます。
このように、今回の展示会は業界・方式ともに幅広い形で実施されました。
今回IIJでは、業務用厨房機器メーカー最大手のホシザキ株式会社様のご協力により、同社出展ブース内で展示をさせていただきました。
ホシザキ様は全自動製氷機を中心に厨房機器を製造・販売しており、幅広い分野で食品の保存と衛生管理に寄与されています。
今回ホシザキ様は「飲食産業を支えるホシザキ、飲食外市場に取り組むホシザキ」をコンセプトとして、外食産業や宿泊関連・医療福祉・食品関連市場を対象に、HACCPに関連する衛生管理機器や省力化機器に注力した展示を行っておりました。
また厨房機器の展示だけでなく、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を行う上でのポイントを紹介するセミナーや、同社の厨房機器を実際に利用した調理デモンストレーションなども実施され、ブースにはたくさんの方が来場されていました!
IIJのHACCPへの取り組み
IIJではHACCPによる衛生管理の義務化に伴い、食品関連事業者向けに、冷凍冷蔵庫や倉庫の温度を自動監視・管理するIoTソリューション「IIJ LoRaWAN(R)ソリューション for HACCP温度管理」を2020年より提供しています。この繋がりから、IIJはホシザキ様で取り組まれているHACCPに沿った衛生管理のトータルサポートのうち、温度管理の手法として同ソリューションを販売していただくこととなりました。
当日は協賛という形で同社ブースに展示をさせていただき、実際にブース内の厨房機器にセンサーを設置して、実演を兼ねたソリューションの説明を行いました。
※ IIJの食品衛生管理への取り組みは、以前にも本ブログ「はじめよう!LoRaWAN(R)でHACCP食品温度管理!」で紹介しておりますので、是非ご覧ください。
IIJ LoRaWAN(R)ソリューション for HACCP温度管理
ここからは本ソリューションと、それを構成する機器の特徴を解説することで、全体としての強みを紹介したいと思います。まずはソリューションの概要と長所を簡単にご説明します。
ソリューションの説明
概要
- HACCPに基づく衛生管理工程の中で、冷蔵庫や冷凍庫などの温度管理に焦点をあてている
- 機器(温度センサー、ゲートウェイ、アプリケーション)とクラウドサービスを合せて、1つのパッケージとしている
- センサーで冷蔵庫などの温度を自動取得して、取得したデータをクラウドに蓄積する。ユーザーはアプリケーションを介して蓄積したデータを閲覧できる
長所
- これまで人手で行っていた冷蔵庫などの検温を自動化できるため、人件費や記録ミスを削減できる
- センサー、ゲートウェイは初期設定不要、取り付け工事不要のため、簡単に設置できる
- センサーは低消費電力な通信方式であるLoRaWAN(R)を使用しているため、電池駆動でも5年間稼働できる
- センサーとゲートウェイは長距離の通信が可能であり、またゲートウェイ1台に数百台のセンサーを紐づけることができるため、少ない機器で大規模な店舗に適応できる
- LoRaWAN(R)は多様なセンサー(振動センサー、CO2センサーなど)に対応しているため、要望に応じて測定対象を拡張することができる
以上のように単に検温の手間を省けるというだけでなく、工事が不要、長期稼働が可能といった「手軽さ」や、センサーの台数・種類の追加が可能といった「拡張性の高さ」も本ソリューションの利点だと言えます。
機器の説明
続いて本ソリューションのパッケージに含まれる機器の中で、特徴的であるセンサーとアプリケーションを少し掘り下げてみます。
センサー
本パッケージでは2種類のLoRaWAN(R)温度センサーを用意しており、測定対象となる冷蔵庫などの構造や庫内温度に応じて使い分けることができます。
ボックス型温度センサー
- 磁石で庫内に直接取り付けることができるため、設置が容易
プローブ型温度センサー
- 通信部を庫外、測定部(プローブ)を庫内に入れることができるため、扉が分厚く、通信が遮断されやすい冷蔵庫などにも対応できる
- 動作温度の範囲が狭い通信部を室温下に置くことができるため、広い温度範囲を測定できる(測定部は動作温度の範囲が広い)
取り付け時のイメージは以下です。プローブ型は測定部を扉の隙間から通すことで、密閉性を保持することができます。
アプリケーション
本パッケージのアプリケーションの主な機能は以下となります。
- センサーが取得した温度データの可視化
- センサーが異常値を検知したときメールで通知(何℃を異常値とするかはユーザーが設定可能)
- 蓄積した温度データをCSVで出力
上記以外にもセンサーの設置場所登録、センサーの通信状況や電池残量の確認が可能です。
シンプルなインターフェースであるため直感的に操作でき、各種設定も容易に行えます。
このように2種類のセンサーで幅広い環境に対応でき、データの閲覧も簡単に行うことが可能です。
以上のように「IIJ LoRaWAN(R)ソリューション for HACCP温度管理」は、温度管理において非常に汎用性が高く、ユーザー側の手軽さ・使いやすさを考慮したソリューションとなっております。
展示会来場者の声
ブースではホシザキ様厨房機器に設置したセンサーからIIJの展示スペースに置いたPC上のアプリケーションに温度データが上がってくる様子をご覧いただきました。
展示会期間中、毎時間欠損なくデータが上がってくることを確認できました!
ご興味を持ってくださった方は飲食業界から宿泊業界まで様々で、皆さん熱心に説明を聞いてくださいました。
ソリューションの特徴でもある「ユーザー側の手軽さ・使いやすさ」は特にご興味をいただいており、センサーからアプリケーションまでワンパッケージ提供、取り付けが簡単で工事が不要な点も評価していただきました。「センサーのシンプルさもいいね!」という声もいただきました。
複雑な設定が不要で簡易的な温度管理ツールとして利用できる点を多くの方に評価いただき、とても嬉しく思います!
一方で「メール通知だけでなく、アラート・ランプを点灯させる機能もほしい」といったご要望もお聞きすることがでました。今後、多くの方に本ソリューションをご利用いただくために、改善に繋げていきます。
あとがき
今回は東京ビッグサイトで行われた「国際ホテルレストランショー」の模様と、そこで展示した「IIJ LoRaWAN(R)ソリューション for HACCP温度管理」についてご紹介しました。新型コロナウィルスの影響で例年より来場者が少ない状況となりましたが、今回の展示会を通して、本ソリューションのことを広く知っていただくことができました。
出展の機会をいただいたホシザキ様に対し、この場を借りて御礼申し上げます。
上述の通り、LoRaWAN(R)は多様なセンサーに対応しているため、本ソリューションは温度管理以外でも活躍の機会があると言えます。今後IIJとしても、機能・品質の向上と合わせ、様々な利用シーンに対応したソリューションの開発に挑戦していくつもりです。
ご興味のある方は是非、IIJまでお問い合わせください。