技術士(電気電子部門)【エンジニアに役立つ資格】
2023年05月30日 火曜日
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取得の動機
社会に出て仕事に就いて技術知識や業務経験を深めて行くにつれ、電子工学を勉強し情報通信やソフトウェア開発に携わった経験を何かの形にできないかと思っていました。一つは学位を取って学問として究めることですが、机上よりも現場主義だったので、実務経験の延長で何かないかと漠然と考えていました。
自分が興味のある仕事に就くためにいくつかの国家資格が必要だったのですが、歳相応の経験を持ってアドバイスやコンサルティングで歳をとっても活躍する人、特に海外で活躍するシニアの方々と接する機会があって、こういう人たちが国際的に認められるのはなぜだろうと興味を持ったことが始まりでした。
調べていくと技術士という資格があることが分かり、自分の知識や経験の集大成として、いつか技術士を目指そうと思ったのは30歳になる頃でした。2次試験の受験のためには少なくとも7年以上の実務経験が必要であり、その技術分野での実績として証明されないと受験できないため、気長に行こうと一旦心に留めて仕事をしていました。
技術者として40歳を一つの区切りと考えていたこともあり、頭の片隅にあった技術士にも挑戦してみようと勉強を始めました。
技術士とは
日本技術士会のホームページから抜粋すると・・・”「科学技術に関する技術的専門知識と高等の応用能力及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた優れた技術者」の育成を図るための、国による資格認定制度(文部科学省所管)です。さらに、「技術士」は、「技術士法」により高い技術者倫理を備え、継続的な資質向上に努めることが責務となっています。”
暗記や計算だけでなく、自分の知識や経験をもとに相手に対してアドバイスでき、海外でも通用する資格、それが技術士です。建築や土木の世界では、技術コンサルティングの場面で技術士が活躍しているのは知っていましたが、全部で20の技術部門がありそれぞれに試験が実施されています。
私は、情報処理技術者試験の資格の一つであるシステムアナリストも持っていたので、情報工学分門での受験も考えましたが、20年以上も通信に関わり電子工学を専攻していたこともあり、電気電子部門を目指すことにしました。
また、技術士は海外ではProfessional Engineerとして認められるのですが、一定のCPD(Continuing Professional Development)を積むことは責務とされており、日本技術士会を中心としてCPD活動への積極的な参加が呼びかけられています。こうしたCPDの実績により、APECエンジニア、IPEA国際エンジニアなど、国際的な枠組みの中での資格としても登録することが可能となるようです。
合格するまで
技術士試験の仕組みは下図の通りで、大学などの指定された教育課程を修了していれば卒業後に修習技術者となるので、技術士補として登録して指導技術士の下で4年超実務経験を積めば2次試験を受験できます。1次試験から受験する人は最短で4年超、一般的には7年超の実務経験を積まなければ2次試験を受験できません。また、最近ではJABEE認定を受けた教育機関からも修習技術者となる道も開かれていますので、技術士への入り口は広がってきていると言えます。
技術士試験は年に1回しか実施されていません。私が受験した頃は指定された教育機関が少なかったこともあり、1次試験から挑戦しましたが、2回連続で不合格となりました。言い訳ですが、40歳過ぎると記憶力が低下し社会に出てから身に付いた”雑念”が降りかかり、問題を解くための基本的なことを思い出すのにことのほか苦労しました。手元に置いていた古い教科書や技術書をひっくり返して必死に復習していました。
ですから、半ば諦めかけていた3回目の受験で合格通知をもらった時はとても嬉しかったです。その頃には業務上も監督者を経験しておりましたが、上図でいう経路③の7年を超える実務経験を既に満たしていたので、過去に所属した会社も含め業務経歴書に証明していただき、2次試験を受験することができました。
2次試験は筆記試験と口述試験があり、筆記試験に合格しないと口述試験が受験できません。ただ、筆記試験は自分の経験に基づくコンサルティングの内容や論文でしたので、まぁそこは実際に経験したことをそのまま書き、口述試験では日常的にお客様に説明するかの如く対応することが出来ましたので、1回で合格することができました。足掛け4年もかかってしまいましたが、なんとか技術士としてのスタートラインに着くことができました。
合格してから
試験に合格しただけでは技術士として活動することは出来ません。2次試験に合格した人は技術士となる資格を有しているのであって、有資格者が技術士となるためには文部科学省管轄の公益社団法人日本技術士会に登録の申請をし、登録簿に必要な事項についての登録を受けなければなりません。なお、有資格者が、登録を受ける前に技術士という名称を使用した場合には、罰則が適用されます。
こうして、思い立ってから10数年でやっと”技術士(電気電子部門)”として登録を受け、今に至っています。
技術士を持っていることで会社に貢献できることとしては、建設業法関係の仕事において必要とされる資格の一つであるということです。モノを造るという観点では技術レベルとして一定水準が求められるのですが、建設業法で定められる免許の要件には専任技術者、監理技術者、主任技術者が必要とされ、その役割になるためにはいくつかの資格が必要となるのですが、その中には技術士も含まれています。
民間企業でも一定数の有資格者を持っていることが、技術レベルの高さを証明することにもなるので、企業のホームページなどで有資格者数を公表しているところもあります。
これからどうする
システムインテグレーションも一定規模になると建設業法の適用を受け、当社もその対象なのでこれらの資格は必須です。
建設業免許を取った時には有資格者が私だけという時期もあったのですが、今では社内で資格取得の機運が高まり、技術士やそれ以外でも建設業に必要とされる資格を持つ人が増えています。現場の数だけ監理技術者や主任技術者が必要になるので、建設業免許を必要とする企業では、技術士に限らず各種施工管理技士などの有資格者を増やすことは必要です。
技術士を持っていなくても仕事はできますが、技術士になるには実務経験が必要なこともあり、工学系を学んだ人の最終目標として社会に出てから、技術士を目指すというのも一つの選択肢になるのではないかと思います。
年齢を重ねるだけではダメで、それなりに大きなプロジェクトや大規模な建設工事の経験を積み重ねる必要があります。また、CPDにも積極的に関与し、自分自身の技術レベルを維持しつつ企業の利潤追求だけでなく高い倫理観を持って仕事に取り組み、人脈を広げながら、技術を極めた証としての技術士はとても重みのある資格であると思います。
独立した事務所を構える人もいますし、企業内技術士として社内の技術者育成に取り組むこともできますし、対外的な活動の時にも技術士と名乗ることで多くの皆さんに認めてもらえますし、社会との関わり方はたくさんあります。
60歳を迎えた今、こうした経験を若い人たちに語りながら、技術者の意識を高め、失われた30年を少しでも取り戻すことにお手伝いできたらと思ってこのBlogを書いています。”芸は身を助ける”とも言いますが、”資格は身を助ける”とも言えますので、是非この記事をきっかけとしてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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