なぜ、スクラムが上手くいかない・しっくりこないと感じるのか考えてみよう
2023年06月20日 火曜日
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どうも名古屋支社の北河です。
今回はスクラムの “ちょっと” した感じ方について取り上げていきたいと思います。
スクラムを実践している方はスクラムガイドを一度は読んだことがあるかと思います。読んでみると、軽量級やシンプルといったキーワードが目に入ってきます。
そしていざスクラムを実践し始めるとこんな声を聴きます。
「う~ん、難しい。上手くいかない」「なんかしっくりこない」「これで良いのかな?」と。
ということで、なぜ上手くいかないと感じるのか、しっくりこないと感じるのか、を自分の解釈を交えて考えてみたいと思います。
スクラムとは
アジャイルの価値や原則を満たすプラクティスを組み合わせたフレームワークの一つです。
アジャイルとスクラムを混同していたり、違いって何?というケースを見かけますが、下図を見てもらえればイメージ出来るかなと思います。
以前の記事「Agile Studio ウェビナーで話をしてきました!」でも使った図ですが、好きな図なので再掲します!
スクラムの定義
ここから先は スクラムガイド を見ながら考えていきたいと思います。
まず スクラムの定義 にはこう書かれています。
スクラムとは、複雑な問題に対応する適応型のソリューションを通じて、⼈々、チーム、組織
が価値を⽣み出すための軽量級フレームワークである。
簡単に⾔えば、スクラムとは次の環境を促進するためにスクラムマスターを必要とするもので
ある。
- プロダクトオーナーは、複雑な問題に対応するための作業をプロダクトバックログに
並べる。- スクラムチームは、スプリントで選択した作業を価値のインクリメントに変える。
- スクラムチームとステークホルダーは、結果を検査して、次のスプリントに向けて調
整する。- 繰り返す。
引用: スクラムガイド
軽量級という言葉が出てきましたが、覚えることは少なく確かにシンプルです。
これだけであれば難しいという感じはしませんね。
では、どのあたりが難しいと感じるのでしょうか?次はスクラムの理論を見ていきます。
スクラムの理論
スクラムは「経験主義」と「リーン思考」に基づいている。経験主義では、知識は経験から⽣
まれ、意思決定は観察に基づく。リーン思考では、ムダを省き、本質に集中する。引用: スクラムガイド
経験主義のスクラムを支えるのは「透明性」「検査」「適応」の三本柱です。
「透明性」があることで、チームやプロダクトの状態が良くも悪くも可視化された状態になります。そして透明性が担保されれば、正しく「検査」が可能となり、改善へ繋げることが出来ます。これが「適応」ですね。
個人的には起点となる「透明性」が非常に重要だと感じています。もし、隠し事やこっそり内職をしているようであれば透明性は低い状態となります。これでは正しく検査・適応は出来ませんね。
とは言っても、そんな簡単に透明性を高めるなんて出来ないよ!っていう方もいるかもしれません。
だって普通に考えたら透明性が高いってとても怖いことだと思うんです。人間だから都合の悪いことはついつい隠したくなりますよね。
「立場が不利になる意見は言いたくない」「面倒なことに巻き込まれそうだから言いたくない」って方もいるのでは?
そんな方に朗報です。
この三本柱が正しく機能するために、スクラムには5つの価値基準というものがあります。ちょっと見てみましょう。
スクラムの価値基準
スクラムガイドにはこう書かれています。
スクラムが成功するかどうかは、次の 5 つの価値基準を実践できるかどうかにかかっている。
確約(Commitment)、集中(Focus)、公開(Openness)、尊敬(Respect)、勇気(Courage)引用: スクラムガイド
- 確約 … スクラムチームは、ゴールを達成し、お互いにサポートすることを確約する
- 集中 … スクラムチームは、ゴールに向けて進捗できるようスプリント作業に集中する
- 公開 … スクラムチームとステークホルダーは、作業や課題を公開する
- 尊敬 … スクラムチームのメンバーは、お互いに能⼒のある独⽴した個⼈として尊敬し、尊敬される
- 勇気 … スクラムチームのメンバーは、正しいことをする勇気や困難な問題に取り組む勇気を持つ
どうでしょう。行動指針ともとれる5つの価値基準ですが実践できていますか?
スクラムチームの全員が、役職、立場、年齢関係なく実践出来ている必要があります。
そして、この価値基準を実践していないと三本柱は空気になります。空気になった三本柱では形だけスクラムになってしまいますね。
ここまで読んでみると、スクラムは5つの価値基準が実践できている前提になっていることが理解できます。
後に出てくるイベントや成果物もこの前提があってこそなんですね。
この前提を満たさず形だけスクラムになっているから、“上手くいかない”、”しっくりこない” に繋がるのではと思っています。
まとめ
イベントの進め方や成果物についても上手くいかない原因があると思いますが、まずは根底となる箇所について考えてみました。
上手くいっていないと感じている場合は、今までの仕事の進め方と同じ感覚でやっていませんか?
もちろん今までの仕事の進め方を否定するつもりはありませんが、5つの価値基準が実践出来ていないのであれば、せっかくのスクラムがもったいないなーと感じちゃいます。
っということで提案です!
上手くいかない、しっくりこないと感じている場合は以下を試してみたらいかがでしょうか?
- スクラムの価値基準をチームで読んで、チームで実践可能な方法を考えて実践する
- スクラムの三本柱からチームの理想を話し合い、現状とのギャップを埋める活動をする
これだけのことですが、少しでもチームに変化が絶対に起きます!
最後に宣伝となりますが、私が所属している名古屋支社開発チームは開発ベンダーでありながらアジャイルでお客様のビジネス拡大に貢献したい!と活動しています。興味がありましたら是非ご連絡ください!
執筆者Twitter | @nk_tamago ※意見は個人のものです |