最近Proxmoxの話ばかりしている気がする
2025年11月20日 木曜日
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こんにちは、九州支社技術部(九州・中四国事業部)所属のy-morimotoです。
最近、仮想基盤を導入/運用されている界隈で「Proxmox VE(Proxmox Virtual Environment)」をよく耳にされておりませんでしょうか?
私も例にもれず有難い事に「で、どーなん?」とよくご質問頂くので、この機会にインプレッションを稼がご紹介させて頂こうと思います。
1.何の製品?
ざっくりいうと「オープンソースで構成されている仮想基盤管理ソフトウェア」です。
便利なWebアクセス可能なGUIが準備されており、QEMU/KVMベースの仮想化(VM)に対応しています。
また、仮想化(VM)だけでなくて、LXCによるコンテナ(CT)にも対応しており、最近では(個人的には)こっちを使う事の方が多いです。
2.で、どうなの?
一言でいうと「めっちゃ良い」です。
何が良いって、仮想基盤にあると便利な機能が最初から全部入っています。
- 仮想化:QEMU/KVM
- コンテナ:LXC
- ストレージ:Ceph(SDS)
- バックアップ:Proxmoxオリジナル(QEMU/KVMのAPIを利用)
- クラスタ:Proxmoxオリジナル(corosyncベース)
- ネットワーク:EVPN(SDN)、nftables(FW)
- それらを一括管理できるWEBUI(日本語対応):Proxmoxオリジナル
とても無償とは思えませんが、無償です。
※Proxmox Virtual Environmentはサポートサブスクリプションが有償なだけで、ソフトウェア自体は無償(AGPLv3)で利用できます
3.具体的に何ができるか
どんなことができるか、少し具体的にみてみましょう。
- 仮想化:QEMU/KVM
Linuxベースな各種仮想基盤でおなじみのQEMU/KVMによる仮想化機能で、Linux/Windowsどちらの仮想化にも対応しています。
デバイスのパススルーやデバイスベースの仮想化(SR-IOV)などにも対応し、ProxmoxではこれらをWEBUIから簡単に設定・管理できます。 - コンテナ:LXC
QEMU/KVMほど有名ではないかもしれませんが、リソースを効率良くかつ環境準備がスピーディに済む非常に有用な機能です。
Linux OSコンテナをVMのような感覚で使え、Dockerfileやcompose.yamlとの格闘は一切不要です。
コンテナというとPodmanやDockerを思い浮かべる方も多いと思いますが、そちらはアプリケーションのコンテナ化で、今回のLXCはLinux OSのコンテナ化となります。
Linux OSコンテナ化のメリットは、ちょっと昔の記事になりますが「仮想マシンのように使えるコンテナ」をぜひご確認ください。 - ストレージ:Ceph
サーバ内蔵ディスクを束ねて共用ストレージを構成することができます。
よく「HCI(Hyper Converged Infrastructure)」と呼ばれる構成です。Proxmoxでは、これを何気に歴史の長いCephを使って構成できます。 - バックアップ:Proxmoxオリジナル(QEMU/KVMのAPIを利用)
VMを外部のストレージ等に定期的にスナップショット+フルバックアップすることができます。
また、Proxmox Backup Server(別サーバとして構築)を組み合わせると、差分・重複排除等にも対応てより効率的なバックアップができるようになります。 - クラスタ:corosync+独自HAマネージャ
複数のサーバをクラスタ化し、まとめて管理する事がきでます。
また「障害時に別ホストでVMを自動再起動」や「動かしたまま別ホストへ移動(ライブマイグレーション)」など、クラスタ化された仮想基盤で欲しい機能が利用可能です。 - ネットワーク:EVPN+nftables
仮想基盤クラスタ内に仮想的なネットワークを構成する機能で、複数のセグメントとルータを内部に準備して、VMを自由に配置でき、NATで外に出ていくこともできます。
また、ホスト側でVMに対するファイアウォール設定が可能で、クラスタ、サーバ、VM単位の効率的な通信制御が行えます。 - それらを一括管理できるWEBUI(日本語対応):Proxmoxオリジナル
日本語対応のWEBUIがあります。また、専用の管理用VMを立てる必要はなくホストに機能が統合されています。
4.使った結果
もう、これより機能が少ない基盤には戻れない体になりつつあります。
思い立ったら1分でクリアインストール済みのVMっぽいもの(Linux OSコンテナ)が準備でき、
物理ネットワーク環境を気にせず自由にネットワーク構成、ルータやFWも基盤内で完結、
サーバ内臓のDISKで複数ホストに冗長化でき、ホスト障害時の自動再起動なども行ってくれて、
それらはWebブラウザで簡単に利用できる。
特に検証用途ではLXCとEVPNは既に無いと辛いです。他を寄せ付けない「無償」かつ「フル機能」が相当な猛威を振るってます。
適当に余ったノートPC3台に入れて使ってただけなのに「もう本番もこれで良いんじゃないかな」という考えが頭をよぎるレベルです。
※実際には、DCに置くとなるときちんとしたサーバじゃなと困る点が多々あるので、使ってて便利すぎるがゆえの錯覚です
5.といったところで
個人的にはすごくお勧めで、皆様にもぜひ一度お試しいただきたいです。
使った結果にも記載の通り、検証作業で活躍することうけあいなので、作った環境は決して無駄にならないと思います。
出てきたばかりで懸念とか無いの?などもよく聞かれますが、話題によく出だしたのが最近というだけで、Proxmox Server Solutionsは2005年から続く老舗だったりします。
また、メイン部分の構成要素もQEMU/KVMやCephとこれも他でも利用されている実績がある歴史の長い製品です。
懸念あるとすれば「サポートサブスクリプションが大幅値上げとなりました」とか頭をよぎったりはしますが、まあ、どこかに買収されたりとかでも無ければきっと大丈夫でしょう。(特大フラグ)
ちなみに、今年からIIJもProxmox認定リセラーとなり、導入支援や運用のご相談にも対応できるようになりました。
ご興味のある方は最寄りのIIJ支社・支店・営業所にぜひぜひご相談ください。
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