Golden Kubestronautになりました
2025年12月11日 木曜日
CONTENTS
【IIJ 2025 TECHアドベントカレンダー 12/11の記事です】
はじめに
このたび、CNCFの認定資格 15 個すべてを取得すると付与される称号Golden Kubestronautを取得しました。
本記事では、その取得までの道のりや学習方法、そして取得を通じて得られたものについて紹介します。
Kubestronaut / Golden Kubestronautとは
CNCFが提供しているKubestronautプログラムには、2つの称号があります。
ひとつはKubestronautです。
こちらは、CNCFが認定するKubernetes関連の以下 5 つの資格をすべて取得した人に与えられます。
- Certified Kubernetes Administrator (CKA)
- Certified Kubernetes Application Developer (CKAD)
- Certified Kubernetes Security Specialist (CKS)
- Kubernetes and Cloud Native Associate (KCNA)
- Kubernetes and Cloud Native Security Associate (KCSA)
もうひとつはGolden Kubestronautです。
Kubestronautに加えて、クラウドネイティブなテクノロジー全般に関するCNCF認定資格をすべて取得した人に与えられる称号です。
私が認定された2025年10月時点では、上記5資格に加え、以下の10資格が必要でした。
- Prometheus Certified Associate (PCA)
- Istio Certified Associate (ICA)
- Cilium Certified Associate (CCA)
- Certified Argo Project Associate (CAPA)
- GitOps Certified Associate (CGOA)
- Certified Backstage Associate (CBA)
- OpenTelemetry Certified Associate (OTCA)
- Kyverno Certified Associate (KCA)
- Cloud Native Platform Engineering Associate (CNPA)
- Linux Foundation Certified System Administrator (LFCS)
Golden Kubestronautの要件は、比較的高い頻度で追加が行われています。
実際に、この記事を執筆している2025年11月時点では、2026年3月1日以降はCertified Cloud Native Platform Engineer (CNPE)が追加されることが発表されています。
取得までの道のりとモチベーション
最初は、2024年10月に取得したCKAでした。
2024年に新卒で入社し、SRE推進部に配属され、IKEの運用に携わる上で必要なスキルを身につけるための一つのステップ、という位置づけでした。
ただ、このあとしばらくは特に資格取得を進めることもなく、8ヶ月ほどが過ぎました。
転機になったのは、2025年6月に日本で初開催されたKubeCon Japanへの参加です。
Kubernetesだけでなく、クラウドネイティブ全般に対する会場の熱量の高さに強く刺激を受け、「自分ももっと深く学びたい」というモチベーションが一気に高まりました。
そこで、 Kubestronautを目指そうと考え、以下の順番で資格を取得しました。
-
7〜8月半ばにかけてCKS、CKAD、KCNA、KCSAを順に受験
-
CKS と CKAD は 2 週間間隔
-
KCNA と KCSA は 1 週間間隔
-
Golden Kubestronautは以下のようなペースで勉強と受験を進めました。
-
8月半ば〜10月末にかけて、ほぼ週 1 ペースで残り10資格を受験
-
2025年10月末にGolden Kubestronautを達成
学習方法
学習には主に以下の 2 パターンを取りました。
1. KodeKloudを活用した学習
Kubestronautの5資格と、Golden Kubestronautに必要なPCA, ICA, CCA, CGOA, CBA, CNPAについては、オンライン学習プラットフォームである KodeKloud のコースを活用しました。
KodeKoudのコースは試験対策向けとされていますが、
- その分野を体系的に学べるよう構成されている
- ハンズオン環境が整っている
- 試験対策用の模擬試験が充実している
といった特徴があり、試験対策と基礎固めを同時に進めるのに非常に適していました。
試験勉強に合わせて「体系的にキャッチアップするための教材」として重宝しました。
2. 公式ドキュメント+書籍+自作模擬試験
一方でCAPA, OTCA, KCAについては、受験当時KodeKloudに対応コースがありませんでした。
そのため、これらについては以下のように学習しました。
- 公式ドキュメントの熟読
- OTCAについては、オライリーの『入門 OpenTelemetry』を併用
- ドキュメントをもとにAIに模擬試験問題を生成させて理解度確認
試験範囲と照らし合わせながら、どう勉強を進めていくか計画立てるところから自分でやらなければならなかったため、少し手間と不安がありましたが、それでも問題なくクリアすることができました。
振り返り
結果として、OTCA以外の資格はすべて一発合格することができました。
特に、KodeKloudのコースを活用して、体系的にキャッチアップすることができたことが良かったと思います。
一方でOTCAは3回不合格になっています。
他の資格と比べて、
- 問題文・選択肢ともに英文が長め
- 概念やユースケースに落とし込んだ問題が多め
といった特徴があり、「他も受かっているし大丈夫だろう」というノリで挑むと痛い目を見る試験でした。
とはいえ今振り返ると、公式ドキュメントの読み込み不足が大きな要因だったと思います。
取得して得られたこと
1. 知識
まず一番大きいのは、Kubernetesおよびクラウドネイティブを構成する各技術・手法・ソフトウェアに関する知識が大きく広がったことです。
特に印象的だったのがCCA (Cilium Certified Associate)です。
CCAはその名のとおりCiliumに関する資格ですが、実際には以下のような内容を通じて、Kubernetesのネットワーク全般に対する理解を深めるのに適した資格でした。
- CNIの基本的な仕組み
- Pod間通信やServiceの動作
- Kubernetesのクラスタ内外をまたぐネットワークの考え方
IKEではCNIとしてCalicoを採用しているため、Ciliumの知識がそのまま業務に直結する場面は多くありません。
それでも、CNIの共通的な仕組みやKubernetesのネットワークの原理を理解しておくことは、日々のトラブルシューティングや設計時の判断に確実に役立っています。
このように、業務と試験範囲が一対一で対応するわけではありませんが、クラウドネイティブな環境を設計・構築・運用するうえで避けては通れない考え方やベストプラクティスに体系的に触れられたのは、Golden Kubestronautを達成することによって得られる大きな価値だと感じています。
2. 学習週間
7月から10月にかけては、以下のペースで学習していました。
- 平日: 帰宅後に2~3時間
- 休日: 1日あたり7~8時間
これを約3ヶ月間ほぼ毎日継続した結果、資格取得が一段落したあとも学習を続けることが当たり前になりました。
「学習習慣をつくる」こと自体を目的にすると難しいですが、資格取得という目標がある状態で走り続けたことで、結果的に習慣づけられたのは大きな収穫でした。
3. 特典
Kubestronaut / Golden Kubestronautには、CNCFからいくつかの特典が提供されます。
Kubestronautの特典
- ジャケット
- Credlyのバッジ
- Slackのプライベートチャンネルとメーリングリストへの参加
- CNCF資格試験 50%割引クーポン5枚
- KubeConもしくはKubeDaysの20%割引クーポン 年3回分
- Kubestronautサイトへの掲載
Golden Kubestronautの特典
- バックパック
- ビーニー
- ThriveOne(Linux Foundation の学習プラットフォーム)への無料アクセス
- KubeCon 50%割引クーポン 年1回分
- CNCF資格試験 60%割引
- Kubestronautサイトで金枠付きで上位に表示される
Kubestronautの称号と特典は、構成するいずれかの資格が失効すると利用できなくなりますが、Golden Kubestronautでは生涯有効とされています。
現時点では、ジャケットやバックパックなどのノベルティはまだ受け取れていませんが、次回参加するKubeConで受け取れる見込みなので、それもひとつの楽しみになっています。
おわりに
Golden Kubestronautを目指す過程は、Kubernetesおよびクラウドネイティブ全般に関する幅広い知識を体系的にみにつけるための、非常に良いきっかけになりました。
また、短期間で集中的に学び続けたことで、継続的に学習する週間も得ることができました。
クラウドネイティブの世界は日々めまぐるしく変化しており、新しい技術や手法が次々に登場しています。
今回の称号取得に満足することなく、今後も知識をアップデートし続け、IKE の開発・運用に還元していきたいと考えています。
同じようにクラウドネイティブ分野を体系的に学びたい方や、学習のモチベーションを高めたい方にとって、Kubestronaut / Golden Kubestronautを目標にしてみることが、ひとつの選択肢になれば幸いです。

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