Starlinkはワイドスターの代わりになるのか?考えてみた
2025年06月13日 金曜日

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Interop Tokyo 2025 で展示をしています
Internet x Space Summit で展示をしています(小間番号:7B32)。来場の際にはぜひお立ち寄りください。
衛星電話サービス「ワイドスターII」が2028年に終了
通信衛星をつかった電話サービス「ワイドスター」は海岸の基地局を利用した船舶電話を置き換える目的で始まったそうですが、災害発生時の電話機として整備している法人は多いようです。ワイドスターは現在「ワイドスター II」と「ワイドスターIII」の2種類がありますが「ワイドスターII」は2028年の3月に終了することが決まっています。ワイドスターIIの終了まで残り3年、後継のワイドスターIIIは大幅な値上げが発表されるなど変化してきています。

https://www.ntt.com/business/mobile/product/satellite/widestar_movable.html
一方で企業の災害対策ならStarlinkでもいいのではないか?そんな声がどこからか聞こえてきたので考えてみました。
StarlinkとワイドスターII
ワイドスター II は、1996年に開始された衛星携帯電話サービス「ワイドスター」の後継で、2010年4月にサービスが開始されました。N-STAR衛星(静止軌道、約36,000km)を用い、日本全国(一部離島を除く)および沿岸約200海里をカバーします。
- 地上の電話網につながり、緊急通報(110番、119番)に対応しています。
- FAXが利用可能(FAXアダプタが必要)
といった特徴があり単体でつかえる衛星電話として利用されています(パソコンとイーサネットケーブルで接続し、PPPoEをつかったダイアルアップ的な接続で繋ぐような使い方もできます)。
一方でStarlinkは単体で利用するというより、スマートフォンなどにむけてWi-Fi環境を提供するデバイスになります。
Starlinkを持ち運びするならMINIが最強!
現在入手できるStarlinkは3種類あります。

※アンテナ画像は https://www.starlink.com/specifications より引用
この中で持ち運びを考えるとMINIが最適です。サイズ・重量・消費電力等、いずれも優秀で、アンテナ本体にWi-Fiルータを内蔵しているためかさばりません。
Starlink BusinessでもMINIが利用できます
MINIは法人向けの優先プランと組み合わせて利用できる事は確認しています。個人利用ならMINIにROAM 10GBを組み合わせるのが良いのではないかと思います。
しかしMINIでもワイドスターより大きいです。
ワイドスターIIの本体サイズは、196mm × 180mm × 39mm です。ワイドスターはバッテリーを内蔵していますが、MINIは内蔵していませんので電源をどうするか考えなければなりません。ワイドスター本体の重量は1.3kgでMINIよりも重いですが、バッテリー内蔵で電話として待ち受けも長時間可能です。
IIJではMINIを調達して準備を始めています。
Starlink本体だけでも十分ですが、防災を意識して普段収容しておくケース、ポータブルバッテリー、視界確保のために高さが出る三脚などをセットでもっておくと実用性があがると考えています。購入時の箱に入れっぱなしではなく、運用を考えた最適な構成を模索しています。IIJでは検証用の機器一式をIIJ-EGに協力してもらって調達しました。今後全国の拠点に設置していく計画です。

MINIを収容するケース

開けるとこんな感じ周辺機器もスッキリ収まります。

三脚にとりつけています、高く設置すれば視界的にも有利。
緊急時に連絡をとりあうアプリは何がいいのか?
僕は、緊急時でも普段使いしているアプリがそのまま利用できる事が大切だと思っています。緊急時にしか使わないアプリはいざという時にどこにあるかわからない、使い方を忘れている、うまく動かない、正常なのか異常なのか判断ができないみたいか事が起こりそうです。普段使いしているアプリがStarlink経由でも使えることを確認しておく必要はありますが、特殊な機器ではないので相互接続性で問題が発生する可能性は低いと思います。普段から連絡をとりあっている業務用の端末・アプリをそのまま使う、アプリの障害を想定して複数の連絡手段を確保しておくのがいいのではないかと思います。
緊急通報(110番、119番)をどうするか?
Starlinkに置き換えた時の懸念として緊急通報をどうするか?というのはあるかと思います。音声での緊急通報はInternetなどの仕組みは使っておらず、今のところ有効な解決策はありません。どうしても音声での緊急通話が必要となればこれまでどおりの衛星電話の仕組みをつかうか、スマホの音声回線で繋がる事を期待するしかないのかもしれません。
需要が拡大していけばいずれ時間が解決してくれるものと期待し、解決された暁には紹介したいと思います。