ブロードバンドトラフィックレポート〜トラフィックは安定成長が継続〜 (IIR vol.67 1章)
2025年09月25日 木曜日

CONTENTS
2025年9月に発行したIIJの技術レポート「IIR vol.67」の第1章「ブロードバンドトラフィックレポート〜トラフィックは安定成長が継続〜」では、毎年IIJが運用しているブロードバンド接続サービスのトラフィックを分析して、その結果を報告しています。今回も、利用者の1日のトラフィック量やポート別使用量などを基に、この1年間のトラフィック傾向の変化を報告します。
本報告のポイント
トラフィック全体では、安定した成長が続く
過去数年と同様に、今年もトラフィックは安定した成長が続いています。成長の傾向に目立った変化は見られません。今年のブロードバンドトラフィック量は、INは9%(昨年は14%)、OUTは4%(昨年は12%)の増加でした。トラフィックのIN/OUTはISPから見た方向を表します。INは利用者からのアップロード、OUTは利用者へのダウンロードです。
2025年6月時点で、IPoEのブロードバンドトラフィック量の全体に占める割合は、全体の5割弱です。割合は昨年同月よりほぼ変化なく、IPoEへの移行は一巡したようです。モバイルはこの1年でINは29%(昨年は29%)、OUTは9%(昨年は20%)の増加でした。利用者の動向に大きな変化は見られませんでした。
トラフィックの増加のペースに大きな変化はないとしても、動画コンテンツの利用者数、1人当たりの視聴時間、画質向上に伴うデータ増加自体は、当面続くと考えられます。
トラフィック使用量の偏りは、大きな変化なし
利用者間のトラフィック使用量には大きな偏りがあり、結果として全体は一部利用者のトラフィックで占められている傾向は変わりません。例えば、上位1%の利用者がOUTの15%、INの44%を占めています。モバイルでは上位10%の利用者がOUTの48%、INの46%を占めていて、上位1%の利用者がOUTの12%、INの13%を占めています。
使われているポート番号は、TCP443が主流で、ブロードバンドの53%、モバイルの38%を占めています。QUICで利用されるUDP443の割合も増加傾向にあります。
AI利用とトラフィック量の変化
一般ユーザのAI利用が増えても、ブロードバンドトラフィックへの影響は限定的だと予想しています。例えば、検索がこれまでのキーワード検索からAIチャットボットに代わっても、データサイズに大きな変化はありません。一方で、大規模なAIモデル開発をする一部の組織が、AI学習用のデータとするため大量のコンテンツ取得をしていることで、コンテンツ事業者には負荷増大などの影響が出ているようです。
詳細なデータ・グラフを掲載した、本レポートの全文はこちらからご覧いただけます。
Internet Infrastructure Review(IIR) vol.67(2025年9月発行)1章