AI時代を支えるインフラ データセンター

2026年05月26日 火曜日


【この記事を書いた人】
IIJ Engineers Blog編集部

開発・運用の現場から、IIJのエンジニアが技術的な情報や取り組みについて執筆する公式ブログを運営しています。

「AI時代を支えるインフラ データセンター」のイメージ

インターネット関連の最新動向や技術情報をお届けする広報誌「IIJ.news」。 Vol.194の特集テーマは「データセンター」です。

 生成AIの普及によって、データセンターは明確な転換点を迎えています。最新のAI向けGPUは、従来の汎用サーバと比較して数倍の消費電力と発熱量を持ちます。高集積化が進むほど「電力を供給できるか」「発生した熱を安全かつ効率的に除去できるか」といった問題への対応が重要になります。結果、データセンターは単なるIT設備ではなく、巨大なエネルギー変換装置としての性格を強めています。

 本稿では、IIJが取り組むワット・ビット連携を軸に、

  • 冷却技術の進化
  • APN(All Photonics Network)がもたらすネットワーク設計の変化

という2つのポイントから、AI時代のデータセンター設計を整理します。

冷却は設備ではなく、設計思想

高密度なGPU構成では大量の空気循環が必要となり、冷却電力がデータセンター全体の消費電力に占める割合は大きくなる一方です。近年注目されているのが Direct Liquid CoolingDLC) です。

 DLCは、CPU/GPUにコールドプレートを密着させ、発熱源を直接冷却します。よって空間全体を冷やす必要がなく、エネルギー効率は向上します。DLCは、一次側設備(熱源・チラー) と二次側設備(CDU・サーバラック)から構成され、冷却液循環を精密に制御することができます。一方でDLCを導入するにあたっては、配管の冗長設計、漏水リスクへの対応が必要です。さらに、液冷では冷やせない機器を冷やすため、空冷との併用は欠かせません。実運用では、液冷7割・空冷3割程度を目安とした構成がよさそうです。

 IIJでは白井データセンターキャンパスにおいて、将来的なDLC導入を前提とした水冷Ready設計を採用しています。熱源設置スペースの事前確保、配管ルートの余力設計など、AI/GPU負荷の変化に応じて冷却方式を段階的に選択できるような設計としました。冷却方式は、すでに後付け可能な設備ではなく、データセンター全体の設計思想のコアとなりつつあるのです。

計算を送るためのネットワークとワット・ビット連携

ワット・ビット連携では「電力のある場所で計算し、その結果を都市部へ届ける」という発想が前提になります。ここで重要になるのが、遅延と電力効率を極小化したネットワークです。

 All Photonics NetworkAPN)は、電気変換を介さず、光のままで回線交換・伝送を実現するネットワーク構想です。これにより、低遅延・大容量・伝送時の電力消費削減が同時に成立します。将来的に光パケット/光バースト通信が本格化すれば、従来の階層型プロトコル処理を簡素化し、遠隔計算であっても手元にある感覚を実現する基盤になります。

 ワット・ビット連携を実装する鍵は、

  1. 柔軟に配置できるデータセンター
  2. 分散前提の計算・データアーキテクチャ
  3. APNによる低遅延・低消費電力ネットワーク

3点です。IIJが取り組む分散デジタルインフラは、集中と分散を二項対立で捉えるのではなく、状況に応じて最適配置を選ぶための基盤です。

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