空知スマートアグリシンポジウム2024レポート ~スマート農業の広域利活用~

2025年01月20日 月曜日


【この記事を書いた人】
藤井 俊平

2021年に営業としてIIJに入社。翌年にIoT事業部のプロモーション担当に転属し、現在に至る。珈琲、読書、喫茶店・バー巡り、古着、アニメ・映画鑑賞、ゲームなどなど割と多趣味。写真撮影もガッツリやっていて、そのうち個展 or グループ展を開きたいと思ってます。

「空知スマートアグリシンポジウム2024レポート ~スマート農業の広域利活用~」のイメージ

昨年11月に北海道の岩見沢市にて、北海道空知総合振興局、日本農業情報システム協会(JAISA)との共催で、「空知スマートアグリシンポジウム2024」を開催しました。

大雪などトラブルにも見舞われることなく無事実施することができました!

空知スマートアグリシンポジウムとは?

「空知スマートアグリシンポジウム」は、空知管内の農業関係者やスマート農業に取り組まれている方向けに、スマート農業に関する最新の技術情報や取り組みなどを紹介するイベントです。

2021年から毎年開催しており、今回で4年目の開催となりました。IIJも毎年主催企業として名を連ねています。今回のメインテーマは『スマート農業の広域的な普及に向けた取組』です。

機器のシェアリングや様々な無線ネットワーク技術を活用した取り組み事例や最新技術に触れつつ、スマート農業を広く利用していくにあたっての課題や展望について議論が交わされました。

※過去の開催レポートはこちら!
2021年レポート
2022年レポート

※2023年開催のアーカイブ動画はこちら!
講演編
パネルディスカッション編

今回のシンポジウムのアーカイブ動画については、3月上旬頃にYouTubeにて公開予定です。

会場の様子

北海道はちょうど雪が降り始めてくるタイミングだったようで、会場横の広場を見ると雪がうっすらと一面を覆っていました。
(東京住まいの人間にはそれでも堪える寒さ・・・)

会場には約100名の来場者にお越しいただきました。

空知地方は北海道有数の米どころですが、北海道の中でも特にスマート農業に積極的に取り組まれている地域です。
スマート農業にかかわるベンダーはもちろん、実際にご自身で農地を営まれている農家さんや、普段から農業について研究・学習されている大学・農業高校の学生さんなど多くの方々が今回このシンポジウムに参加されています。

展示ブース

続いては展示ブースをお見せしたいと思います。


今回はスペースを贅沢に使わせていただき、様々な製品やスマート農業に関する取り組み紹介のパネルを展示しました。

IIJからは水田の水位・水温を測定することができる「水田センサー MITSUHA」やセンサーからのデータを無線通信で集約するためのLoRaWAN®基地局、土壌の水分量を測定するセンサーなどをご紹介しています。

水田センサー MITSUHA LP-01

土壌水分センサー

この土壌センサーは愛媛県のデジタル実装加速化プロジェクト「トライアングル愛媛」の採択事業にも利用されており、日本有数のみかん生産地である愛媛県真穴地区全体の土壌水分量の測定に活用されています。
IIJ、愛媛県でみかん・里芋・アボカドの収量向上を目指しスマート農業実装検証 | IIJについて | IIJ

これらの取り組みはNHKのニュース番組やWebメディア等の記事でも取り上げられていますので、ぜひチェックしてみてください!
日本初、土壌水分センサーを120個設置! みかん栽培のDX化へ【トライアングルエヒメ】 | AGRI JOURNAL

展示ブースには主催のIIJJAISAのほか、IIJともIoT分野でパートナーを組んでいるセラクや過去の開催時にも出展していたホクレン農業協同組合、拓殖大学北海道短期大学、また今回講演・パネルディスカッションにも登壇しているNTT東日本やスマート農業事業者向けの融資支援を行っている日本政策金融公庫など、7つの企業・団体による展示も行われました。

メインイベント:講演、パネルディスカッション

ここからはシンポジウムのメインイベントである各社の講演とパネルディスカッションについてご紹介します。
講演は基調講演、事例紹介、技術紹介のパートがあり、IIJからは技術紹介として「スマート農業に役立つ通信技術の動向・事例紹介」と題し講演しました。

基調講演

基調講演はスマートリンク北海道の常務取締役小林さんよりご講演をいただきました。

スマートリンク北海道はドローンを使った農薬散布サービスや営農を効率化するシステムの開発・コンサルティングなどを行っており、小林さん自身もドローンの会社を経営されています。講演は「スマート農業技術の実装化におけるシェアリングの効果」と題し、ロボットトラクターやドローンを活用することによる労働時間の削減効果や、効率的なシェアリングに向けた課題についてお話いただきました。

事例紹介

事例紹介では北海道当別町 大塚農場の大塚さんより、実際に取り組まれているスマート農業の実証試験とその効果についてご紹介いただきました。

大塚農場ではICT農機を活用し約70haほどもある農地を従業員数20数名で経営されていて、ロボットコンバインやビニルハウスの自動灌水を導入し作業時間やコストの削減を実証されています。
またこれにより最近では、新たにブロッコリーの作付けなどにも取り組むことができているそうです。

技術紹介

IIJからは、LoRaWAN®などのLPWAの通信技術を活用した取り組みのほか、最近注目されてきている通信規格である「Wi-Fi HaLow™」や、Starlinkなどに代表される衛星通信を利用したNTN(非地上系ネットワーク)などの技術動向についてご紹介しました。

IIJもこれらの通信技術を利用した取り組みを進めており、今後は中山間地などの携帯不感地域において、StarlinkWi-Fi HaLow™、LoRaWAN®を組み合わせた通信の中継システムの検証も予定しています。

同じく技術紹介として、NTT東日本の石橋さんからは「最適な無線を組み合わせた一次産業の取り組みについて」と題して、NTT東日本グループが目指す社会課題解決のビジョンや、Wi-Fi HaLow™をはじめとする無線通信を利用した取り組みをご紹介いただきました。

パネルディスカッション

各社の講演後は休憩を挟み、パネルディスカッションが開始されました。講演にも登壇した面々に加え、北海道芦別市などスマート農業技術を使う現場側のパネリストも交え議論を交わします。
パネルディスカッションでは主にスマート農業の広域利活用における課題やうまく成功させるための方策について議論されました。

大塚農場や芦別市など現場側の立場からは「農業従事者単体でどうやってスマート農業を活用するのか考えるのではなく、同じ業界の仲間や技術を提供する支援者と知恵を寄せ合って検討することが重要」「シェアリングによるメリット・デメリットを農家さんや自治体にしっかりと理解してもらうことが大事であると感じる」

といった意見があげられ、聴講者だけではなくIIJをはじめとしたスマート農業技術を提供し普及を進める側も非常に学びの多い場になったのではないかと思います。

さいごに

IIJにとって、農業を営む上での実際の課題・苦労を知る現場の人と直接意見を交わし、熱量を感じられる機会というのは非常に貴重なものです。

これからもこうしたイベントや講演、ブログ、SNSなどを通して情報発信に取り組んで参りますので、ぜひ今後の動向にも注目してくださると幸いです。

藤井 俊平

2025年01月20日 月曜日

2021年に営業としてIIJに入社。翌年にIoT事業部のプロモーション担当に転属し、現在に至る。珈琲、読書、喫茶店・バー巡り、古着、アニメ・映画鑑賞、ゲームなどなど割と多趣味。写真撮影もガッツリやっていて、そのうち個展 or グループ展を開きたいと思ってます。

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